第2章 今後の具体策 -何が変わるのか

今回の「ODAのあり方に関する検討」では、様々な具体策を盛り込みました。本章では新たなODAをどのように実施していくか具体策を紹介します。


第1節では、「戦略的な援助の実施」、「効果的な援助の実施」、「現場主義の強化」、「評価の改善」、「多様な関係者との連携」、「国際社会におけるリーダーシップの発揮」といった多角的な内容の具体策を紹介しています。

第2節では、「国民参加と共感の拡大」や「『見える化』の徹底-透明性の向上」、「ODAの現場を伝える広報の効率化」、「国民の理解と支持を促進するための具体的な取組」などの施策を挙げています。

第3節では「外務省の政策・企画立案機能の強化」や「JICAの改革」について紹介します。

第4節では、国際社会の新たな課題に対応するための「開発資金の確保」について、ODAの確保に加えて、民間の資金やODA以外の政府系資金の投入および革新的資金調達に関する取組を紹介します。

第1節 より戦略的・効果的な援助の実施

日本の経済・財政状況が厳しい中、限られた予算の中でより戦略的な援助を実施することで、その効果の最大化を図ります。

1. 戦略的な援助の実施

まず、「選択と集中」による戦略的な援助を行うため、対象国・国際機関ごとに日本の援助の重点分野との関係、対象国の開発目標、日本との二国間関係などを考慮し、対象国ごとの援助方針を決定します。その上で、援助を行うことの政策的な有用性を国・地域横断的に評価し、年度の初めに策定する国際協力における重点方針に基づいて、援助を実施していきます。

次に、「国際協力企画立案本部(注3)」を積極的に活用していきます。特に、援助の方針を策定する際には、同本部を活用し、政務レベルの下で議論を行っていきます。

さらに、「国別援助計画(注4)」を簡素で戦略性の高いものに改編します。既存の国別援助計画と「事業展開計画(注5)」を統合し、その内容および策定プロセスを簡素化・合理化した上で、原則としてすべてのODA対象国について援助計画を策定する方向で検討を進めています。


注3 2006年4月に外務大臣を本部長として外務省に設置。外交政策全体の戦略的方向性などを踏まえ、地域ごとの援助方針、分野・課題ごとの取り進め方を議論する。

注4 ODAの戦略性・効率性・透明性向上に向けた取組の一環として、被援助国の開発課題などを勘案した上で、策定後5年間を目処に作られる援助計画。主要な被援助国につき策定。

注5 原則としてすべてのODA対象国につき国別に作成し、個別のODA案件を、国ごとに設定した援助重点分野などに分類して、一覧できるようとりまとめたもの。


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