3. MDGs国連首脳会合
MDGs国連首脳会合は、2010年9月20日から22日まで第65回国連総会一般討論演説が始まる直前の3日間にわたり開催され、約140か国の首脳級が出席しました。2005年に同様の国連首脳会合が行われた際には国連ミレニアム宣言全般に関する幅広いトピックが話し合われましたが、今回はMDGsに焦点を絞った会合となりました。
日本からは菅直人内閣総理大臣および前原誠司外務大臣が出席しました。菅総理大臣は全体会合において演説を行い、MDGs達成に向けた日本の具体的な貢献策である「菅コミットメント」を発表しました。これはMDGs達成に向け、特に進ちょくが遅れている保健分野および教育分野において、2011年からの5年間で計85億ドルの支援を行うものです。また、前原外務大臣は「最脆弱層の特別なニーズへの対応」をテーマとするラウンドテーブル(円卓会議)に出席し、スラム・離村居住者、少数民族、障がい者といった多様な最脆弱層のニーズに応える上で人間の安全保障の考え方が重要であることを示し、日本発の教育支援モデル「スクール・フォー・オール(School for All)」を紹介しました。
今回のMDGs国連首脳会合においては、全体会合とラウンドテーブルからなる本会合と並行して様々な行事が開催され、日本も積極的に参加しました。前原外務大臣は、日本が主導して開催した「MDGsに関するアジア諸国閣僚級非公式会合」に出席し、アジアの経済成長の経験を共有するとともに、成長に伴い現れた格差にも焦点を当てることが重要であるという趣旨の発言を行いました。また、前原外務大臣は、「開発のための革新的資金調達に関するリーディング・グループ」の主催による「革新的資金調達に関するハイレベル非公式会合」にも出席し、革新的資金調達に関する国際的な議論を拡大する意思を表明しました。
また、今回の会合には、政府関係者のみならず、市民社会・NGOや民間セクターの代表者も参加しました。日本の民間セクターからは、国連の「MDGアドボカシー・グループ(注3)」のメンバーを務める米倉弘昌・日本経団連会長も参加し、前原外務大臣が出席したラウンドテーブルなどに出席しました。市民社会やNGOからは、代表者2名が政府代表団の一員として参加しました。
MDGs国連首脳会合で演説する菅直人内閣総理大臣(写真提供 : AFP=時事)
注3 MDGアドボカシー・グループは、ルワンダのカガメ大統領、スペインのサパテロ首相の共同議長の下、21人の有識者で構成される。メンバーには、ノーベル平和賞受賞者のムハマド・ユヌス氏(バングラデシュ)とワンガリ・マータイ氏(ケニア)、バチェレ前チリ大統領、グラサ・マシェル元南アフリカ共和国大統領夫人、米国企業家のビル・ゲイツ氏とテッド・ターナー氏らがおり、日本人では米倉弘昌・日本経団連会長が就任。メンバーは、世界各地で、貧困と飢餓を根絶し、教育、健康、ジェンダー平等、環境の持続可能性を推進し、MDGsの実施を促進する上でリーダーシップを発揮している。