(4)援助関係者の安全確保

援助関係者が活動する開発途上国の治安状況は複雑であり、日々刻々と変化しています。また、2001年の米国同時多発テロ以降、中東地域や南アジア地域では緊張が高まり、世界各地でテロ活動が多発しています。平和構築支援活動において、どのように援助関係者の安全を確保するのかは、極めて重要な課題です。

政府は、在外公館などを通じて現地の治安状況を把握し、渡航情報などの情報提供や援助関係者間での情報交換や共有を行っています。JICAは、援助関係者に対する出発前の研修やセミナーの実施、現地における緊急時の通信手段の確保、安全対策クラークの配置(注95)、住居の防犯設備などの整備に努めています。また、在外公館や国際機関の在外事務所などとも情報交換し、各国・地域の治安状況に応じた安全対策マニュアルなどを作成するなど、適時適切な安全対策措置を講じています。さらに、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と緊急時の対処やリスク管理に係る研修を共催するなど、安全管理の強化に取り組んでいます。無償資金協力では、コンサルタントおよび施工業者への情報提供を行うとともに、緊急時の連絡体制の整備を行っています。有償資金協力では、日本受注企業への情報提供などにより、当該企業の安全確保を図っています。


注95 : JICAでは、JBICとの統合以前から現地の安全対策を強化するため、その国の治安や安全対策に詳しい人材を安全対策クラークとして雇用し、日々の治安情報の収集と発信、住居防犯から交通事故対策まで、広範囲の仕事を24時間体制で対応できるようにしている。


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