第5節 援助政策の立案および実施における取組

政府開発援助大綱(ODA大綱)は、政府開発援助(ODA)をより効率的・効果的なものとするために進めるべき一連の改革措置を、援助政策の立案および実施体制、国民参加の拡大、効果的実施のために必要な事項の3つに分けて示しています。

1. 援助政策の立案および実施体制

(1)一貫性のある援助政策の立案

日本では1府12省庁(注78)がODAに携わっています。2006年4月に内閣に設置された海外経済協力会議では、議長である内閣総理大臣の下、内閣官房長官、外務大臣、財務大臣および経済産業大臣が重要事項を機動的かつ実質的に審議しています。これまでに海外経済協力の在り方、ODAの質と量を巡る課題、地域別(アジア、アフリカ、アフガニスタン・パキスタン、中央アジア・コーカサス、大洋州など)および分野別(法制度整備支援、食料安全保障など)の海外経済協力の方針などについて審議されました。そして、海外経済協力会議が審議する基本戦略の下、援助政策の企画立案および政策全体の調整をする外務省と、関係府省庁が密接に連携することにより、各府省庁によるODAが相矛盾することなく立案され、ODAを戦略的に実施し最大限の効果を発揮する体制をとっています。

外務大臣の下に設立された国際協力企画立案本部では、外務省の国際協力局と地域担当局などが、国際協力の方針や地域別課題、重点課題の取組方などを協議し、外交政策全体の中での役割を常に確認しつつ、より効果的なODAの企画・立案に努めています。2006年8月に設置された外務省国際協力局は、援助にかかわる政策を総合的に企画・立案するとともに、政府全体を通ずる調整の中核役となっています。

2009年7月に、ODAの政策・企画立案機能強化のため、国際協力局の機構改革を行いました。援助手法を担当していた無償資金・技術協力課および有償資金協力課を廃止し、国別担当課を強化しました。これにより、新設された開発協力総括課の下、3つの国別担当課による3つの援助手法が一体となった支援が可能となりました。また、二国間の援助と多国間の援助に関しては、これまで以上に連携し、国際協力の戦略性の強化およびより効果的な援助の実施に取り組んでいきます。


注78 : ここでの1府12省庁とは、内閣府、警察庁、金融庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省を指す。


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