コラム 21 自立できる援助を~知花くららさん~

ODA広報テレビ番組「地球サポーター」でナビゲーターを務められている知花くららさんにお話を伺いました。

Q:「地球サポーター」のナビゲーターとして、日本の国際協力の現場をご覧になられて、どのような感想を持たれましたか?

A:以前から私はチャリティー活動や国際協力に強い関心を持っていたこともあり、この番組を通じて、多くの貴重な体験をさせていただいています。ウガンダ、ベトナム、カンボジア、タイ、インドネシアとこれまで5カ国を、私自身取材し、日本の国際協力の現場を肌で感じることができました。

ウガンダに行った時のことですが、ネリカ米の稲作普及プロジェクトの現場を見に行きました。そこに派遣された専門家の方が、ウガンダの人々にミスターネリカと呼ばれていました。ミスターネリカの現地の人々の暮らしを稲作の普及を通じて改善している姿にとても感動しました。また、ベトナムの障害孤児養護センターで取材した青年海外協力隊員が言った「教えよう、伝えようとするのではなく、まず自分が働く姿をみてもらうことが大切です」という言葉が深く印象に残っています。このような経験を通じ、「私にも何かできることをしたい」と直感的に感じるのですが、「何ができるのか」という問いに答えるのは決して簡単ではなく、世界の人々は何を必要としているのだろうか、地球は何処に向かおうとしているのだろうか、もっともっと勉強しながら考えていきたいと思っています。

Q:取材を通じて、印象に残っている国があれば教えてください。

A:インドネシアでは、NGOが運営する障害者学校を取材したのですが、校長先生が、「日本の援助により校舎が新築されたことで、そこに通う児童たち自身が誇りを持てるようになった」という言葉がとても印象に残っています。もともと、その地域には障害者のための教育施設がなく、子どもたちは学校に行けず、ずっと家にいたようです。それが、学校に通うようになり、いきいきと活発になり、新校舎の建設が、こうした子どもたちに変化をもたらしたことにとてもうれしく思います。

私が取材を通じて、いつも勇気付けられるのは、遠く離れた開発途上国で日本人が活躍する姿です。青年海外協力隊員、シニア海外ボランティア、専門家の方々など、現地のコミュニティに深く入りこみ、人々から信頼され、期待されている姿は頼もしく、私自身日本人として、誇らしく思え、いつもエールを贈っています。

Q:今後の日本の国際協力に対して何を期待しますか?

A:国際協力について知れば知るほど、その必要性を感じると同時に、援助することの難しさも実感しています。「援助することによって、その国が自立していくこと」、これはそう簡単なことではないと、取材する度に強く思っています。ただし、援助を受ける国の状況や、現地の人々の気持ちを推しはかろうとする日本人の勤勉さや繊細さは、援助の現場でとても良い効果を生み出していると感じています。ただ与えるのではなく、その国の人々の自立を手助けできるような援助のあり方を、長期的な視野で考えていくことが何よりも重要なのではないでしょうか。

これからも日本の国際協力の現場で私自身が見たこと、感じたことをみなさんにお伝えしていきたいと思います。

インドネシアの障害者教育施設で

インドネシアの障害者教育施設で(写真提供 : 地球サポーター)

ウガンダの農村にて

ウガンダの農村にて(写真提供 : 地球サポーター)


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