コラム 1 銃を捨てて~アフガニスタンDIAGの取組~
「生か死か」。日々、銃を構えて絶え間ない恐怖の中で戦ってきた人々が、新たな闘いに挑んでいます。家族とともに平和で満ち足りた生活が未来へと続く「国造り」――アフガニスタンで現在進行中の「非合法武装集団の解体」(DIAG)プログラムです。
このDIAGは、国連開発計画(UNDP)のプログラムで、2006年6月に完了したアフガニスタンの旧国軍兵士6万人あまりの武装解除・動員解除・社会復帰(DDR)に続き、地方に根強く存在する非合法武装集団の解体を目指したものです。日本はDDRと同様、DIAGにおいてもリード国としての役割を果たしており、アフガニスタンの平和と安定に向けた取り組みにおいて重要な役割を果たしています。
武装集団がこのDIAGに応じて解散すると、その武装集団が所在する郡は、開発プログラムの支援を受けることが可能になります。いまだ不安定な政情が伝えられるアフガニスタンですが、国内のあちらこちらでこのプログラムが成果を上げつつあります。
たとえば、首都カブールの北にあるバグラムは、数年前まで非合法武装集団が数多く存在することで有名でしたが、この地域はDIAGの支援で新たな一歩を踏み出しています。
DIAGによる開発事業で74もの井戸の建設が計画され、すでに39の井戸が完成、住民の生活が大きく改善されたのです。この地域に住むナルギスさんは、「以前は、飲み水も生活用水も私たち女性がすべて川から汲んでこなければならず、それは重労働でした。今は井戸ができたおかげで、家庭で使う水は質的にも量的にも大変良くなりました。DIAGには本当に感謝しています」と、満面の笑みを見せてくれました。
地域の治安が安定したことで、女性のための組合も誕生しています。55歳のグルシーリーンさんが立ち上げた組合では、毎週、女性組合員から集めた少額の会費を資金として、貧困女性のための生活支援を行っています。
「組合からこの融資によってこれまでにパン屋や仕立屋など、多くの少額融資事業がスタートしました。かつて男たちの誰もが銃を振りかざし、些細なことさえ銃で解決しようとしていた時代、私たち女性は何もできませんでした。でも今は、銃を恐れずに行動できます。」と、目を輝かせるグリシンさん。平和で治安が良いからこそ、こうした事業も可能となったのです。戦火の中では描けなかった夢や希望が、今、着実に大きくなろうとしています。
モハンマド・ダラもまたDIAGプログラムで大きな変貌を遂げている地域です。街の中心部にあるエマール・ババ高校には、間もなく新校舎が完成します。これまでは10教室のみで、2,000人の生徒の大部分が、照りつける太陽のもと、机も椅子もない状態で授業を受けて来ました。そんな過酷な環境が変わるのです。現在は女子生徒も学校で勉強ができるようになり、通学路で武装集団に遭遇する恐怖ももうなくなったと言います。
2010年まで続くこのDIAGプログラムに、日本は今後も支援を続けていきます。
DIAGの開発事業により建設された井戸(写真提供 : UNDP)
建設中のエマール・ババ高校(写真提供 : UNDP)