政府開発援助 (ODA:Official Development Assistance) |
(1) ODAとは、一人当たりのGNIをもとにDACのリストに掲載された開発途上国への贈与および貸付のうち次の3つの条件を満たすものを指す。 <1>公的機関によって供与されるものであること。 <2>開発途上国の経済開発や福祉の向上に寄与することを主たる目的としていること。 <3>有償資金協力については、その供与条件が緩和された条件のもの(グラント・エレメント(下記参照)が25%以上であること)。 (2) ODAは、無償資金協力、技術協力、有償資金協力、および国際機関への出資・拠出からなる。 |
ODA以外の公的資金 (OOF:Other Official Flows) |
開発を主たる目的とはしない、グラント・エレメントが25%未満などの理由でODAとして適格ではない、開発途上国への公的部門による資金の流れ等を指す。輸出信用、直接投資、国際機関に対する国際協力銀行からの融資等がこれに当たる。 |
政府開発援助大綱 (ODA大綱) |
政府開発援助政策の根幹をなすものとして、政府開発援助の理念(目的、方針、重点)や原則などを定めたもの。1992年9月に策定されたものを、2003年8月に閣議決定により改定。 |
政府開発援助に関する中期政策 (ODA中期政策) |
ODA大綱に基づき、援助の指針を示したもの。旧ODA大綱下で1999年8月に策定された中期政策を抜本的に見直し、2005年2月に新ODA中期政策を策定した。ODA大綱のうち、考え方や取組などを内外に対してより具体的に示すべき事項を中心に記述している。ODA大綱の基本方針の一つである「人間の安全保障の視点」、4つの重点課題(「貧困削減」・「持続的成長」・「地球的規模の問題への取組」・「平和の構築」)、「効率的・効果的な援助の実施に向けた方策」の各項目をとりあげている。 |
アンタイド/タイド援助 | アンタイド援助とは、物資およびサービスの調達先が国際競争入札により決まる援助のことをいう。タイド援助は、これらの調達先が、援助供与国に限定されるなどの条件がつくものを指す。日本語では、「ひもつき」援助と訳されることがある。2001年にOECD開発援助委員会(DAC)で後発開発途上国(LDC)向け援助のアンタイド化勧告が採択され(技術協力を除く、有償資金協力と無償資金協力が対象)、DAC加盟国に適用されている。同勧告上は、アンタイドODAを「ほぼすべての被援助国およびOECD諸国からの自由かつ十分な調達が可能な融資または補助金のことを指す」と定義している。 |
エンパワーメント | 社会的弱者が自分自身で力をつけること。また、その過程を他者が側面から援助すること。 |
基礎生活分野 (BHN:Basic Human Needs) |
食糧、住居、衣服など、人間としての基本的な生活を営む上で必要最低限の物資、保健、教育など。 |
キャパシティ・ディベロップメント | 開発途上国自身が主体となって、自国が抱える課題に対処する能力を向上させることにより、こうした課題を解決していくこと。また、その過程を他者が支援すること。従来の人材育成の概念から発展し、個人の能力のみならず、組織、制度・政策、社会システムなどを含む多様なレベルの能力が相対として向上していくプロセスを指している。 |
グッド・ガバナンス (良い統治) |
開発途上国の開発を効果的で持続性のあるものとするために、国民の政治・社会・経済などの各分野における参加と、その参加が確保されるような制度の整備が実現していること。 |
グラント・エレメント | 援助条件の緩やかさを示す指標。借款の利率、返済期間、返済措置期間を反映しパーセントで表示される。DAC統計では、商業条件(金利10%と仮定)の借款を参照条件としており、利率10%の借款はグラント・エレメント=0%、贈与はグラント・エレメント=100%となる。数字が高いほど緩和された条件が高いとされる。 |
後発開発途上国 (LDC:Least Developed Countries) |
国連開発政策委員会(CDP:United Nations Committee for Development Policy)が認定した基準に基づき、国連経済社会理事会の審議を経て、国連総会の決議により認定された途上国の中でも特に開発の遅れた国々のことを指す。2007年10月現在、50か国がLDCに認定されている(アフリカ地域:34か国、アジア地域:10か国、大洋州地域:5か国、中南米地域:1か国)。http://http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/ohrlls/ldc_teigi.htmlを参照。 |
サブ・サハラ・アフリカ | 北アフリカ(モロッコ、アルジェリア、チュニジア、リビア、エジプト、スーダン)を除く、サハラ砂漠以南のアフリカ。 |
卒業 | DACが作成する援助受取国のリストから外れること。原則として世界銀行の融資基準で3年間高所得国(High Income Countries)に分類された国はリストから除外、すなわち「卒業」(Graduate)することになる。リストは3年ごとに見直される。 |
南南協力 | ある分野において開発の進んだ開発途上国が、別の開発途上国における同分野の開発を支援すること。 |
人間開発指数 | 国連開発計画(UNDP)により、各国の開発水準を人間開発の多様な側面に注目して測定することを目的につくられた指標。出生時平均余命、識字率等をもとに算出される。 |
非政府組織 (NGO:Non-Governmental Organization) |
もともとは国連の場で、政府以外の関係組織を示すのに使われていた言葉が広まったもので、最近では開発、貧困、平和、人道、環境等の地球規模の問題に自発的に取り組む非政府・非営利組織を指すのに使用される。 |
フェアトレード | 開発途上国の生産者から、通常市場で取引される価格よりも割高(2~3割程度)で買い取る貿易形態。通常の貿易取引では、開発途上国が弱い立場に置かれることが多く、市場の適正価格を下回る値段で一次産品や手工芸品が取引されることがあるため、NGOや民間企業が主体となって促進している。 |
平和の定着 | 地域紛争の恒久的な解決のために、紛争が完全に終結する前から支援を行い、地域の安定および平和の萌芽を定着させること、具体的には(1)和平プロセスの促進、(2)国内の安定・治安の確保、(3)人道・復旧支援の実現─を3つの柱としている。 |
援助協調 | 無駄や重複を避け、援助の効果を増大させるために、複数のドナーが情報共有を行い、援助の戦略策定やプロジェクト計画・実施等において協力を行うこと。旧来の援助協調は、案件ごとのドナー同士の連携・調整に重点が置かれていたが、近年は、被援助国の開発政策に沿って、ドナーが共通の戦略や手続きで支援を行う包括的な援助協調が、サブ・サハラ・アフリカを中心に、世界各国で進められるようになっている。 |
海外経済協力会議 | 日本の海外経済協力(ODA、OOFおよび民間資金の活用を含む)に関する重要事項を機動的かつ実質的に審議し、戦略的な海外経済協力の効率的な実施を図るため、内閣に設置された会議。内閣総理大臣、内閣官房長官、外務大臣、財務大臣および経済産業大臣を構成員とする。 2006年4月28日に同会議の設置が閣議決定され、2007年9月現在までに、10回開催された。 |
経済開発協力機構 開発援助委員会 (OECD-DAC:Organisation for Economic Co-operation and Development-Development Assistance Committee) |
OECDにおいて、開発援助に関する事柄を取り扱う委員会。OECD加盟29か国のうち、22か国および欧州委員会(EC)からなる。 |
国別援助計画 | ODAの戦略性・効率性・透明性向上に向けた取組の一環として、被援助国の政治・経済・社会情勢を踏まえ、開発計画や開発上の課題を勘案した上で、5年間程度をめどとした日本の援助計画を示すもの。2007年9月現在までに23か国について作成されている。 |
ODAタスクフォース | 2003年度から、開発途上国における日本の限られた人員を効率的に活用するため、大使館を中心に、JICA、JBIC等援助実施機関の現地事務所を主要な構成メンバーとして立ち上げられたグループ。援助の重要性の高い国を中心に、2007年9月現在74か国で設置されており(兼轄国について設置した場合も含む)、日本のODAの戦略性、効率性の向上に向けた活動を行っている。 |
交換公文 (E/N:Exchange of Notes) |
日本政府と被援助国政府との間の合意事項を記した法的文書。日本では閣議決定が必要。無償資金協力等を供与する際に必要とされる。 |
国際協力機構 (JICA:Japan International Cooperation Agency) |
国際協力事業団を前身とし、2003年10月1日に発足した独立行政法人。日本のODAにおける技術協力の実施と無償資金協力の一部の実施促進業務を担っている。2008年10月には、国際協力銀行が担当している円借款部門の統合が予定されており、また無償資金協力業務の一部が移管されるため、その後はJICAが一元的に3つの手法の援助を実施することとなる。 |
国際協力銀行 (JBIC:Japan Bank for International Cooperation) |
日本の行う有償資金協力(円借款)の実施にあたる機関。1999年4月に公布・施行された「国際協力銀行法」に基づき、日本輸出入銀行(当時)(旧輸銀)と海外経済協力基金(当時)(旧OECF)の統合により同年10月に発足。日本および国際経済社会の健全な発展に資することを目的に、一般の金融機関と競合しないことを旨としつつ旧輸銀および旧OECFがそれぞれ行ってきた国際金融等業務および有償資金協力(円借款)の実施業務を行っている。 |
フィージビリティ調査 (F/S:Feasibility Study) |
個々のプロジェクトが、技術的、経済的、社会的に、さらには環境等の側面から見て実行可能かどうかを検証し、最適な事業計画を策定するための調査。 |
無償資金協力 | 開発途上国が経済・社会開発に関する計画において、資機材・施設および役務を調達するために必要な資金を、返済の義務を課さずに供与する経済協力の一手法。 |
一般プロジェクト無償 | 開発途上国の経済・社会開発に寄与するため、基礎生活分野や人づくり分野(教育・研究、訓練)などのプロジェクトを支援する無償資金協力。 |
ノンプロジェクト無償 | 世界銀行やIMFと連携しつつ、経済構造改善または貧困削減のための努力を行っている開発途上国に対し、これらの取組に必要な物資を輸入するための資金を供与する無償資金協力。 |
日本NGO連携無償 | 開発途上国・地域で活動している日本のNGOが実施する、地域の住民に直接利益となる経済・社会開発協力プロジェクト等に対する無償資金協力。 |
人材育成研究支援無償 | 日本の高等教育機関や学術研究機関の有する知見をいかして行われる開発途上国の開発に資する人材育成事業や研究事業を支援する無償資金協力。 |
草の根・人間の安全保障無償 | 開発途上国の地方政府、医療・教育機関、および開発途上国において活動する外国のNGO等が実施する比較的小規模なプロジェクトに対して行う無償資金協力。 |
テロ対策等治安無償 | 開発途上国の経済・社会開発の前提であり、かつ日本自身の平和と繁栄にも直結するテロ・海賊対策等を強化するために行う無償資金協力。 |
防災・災害復興支援無償 | 自然災害にぜい弱な開発途上国の防災対策や、災害後の復興を支援する無償資金協力。 |
コミュニティ開発支援無償 | 貧困・飢餓・疫病等、人命や安全な生活への脅威に直面する開発途上国のコミュニティの総合的開発を支援する無償資金協力。 |
水産無償 | 水産関連分野の経済・社会開発プロジェクトを支援する無償資金協力。 |
緊急無償 | 自然災害や内戦等による被災者・難民等が発生した場合の緊急のニーズに対応して行う無償資金協力。 |
文化無償 | 開発途上国における文化や高等教育の振興を目的とし、文化面を含む広い視野から、バランスのとれた国家開発を行う努力を支援するための無償資金協力。政府機関等公共機関が対象の「一般文化無償」と、NGO、地方公共団体等が対象の「草の根文化無償」がある。 |
食糧援助(KR) | 食糧不足に悩む開発途上国に対し、穀物(コメ、小麦、メイズ等)等を購入するための資金を供与する無償資金協力。 |
貧困農民支援 (2KR) |
開発途上国の貧困農民への支援に力点を置いた食糧増産に寄与することを目的として、肥料・農業機械等を購入するための資金を供与する無償資金協力。 |
技術協力 | 開発途上国の人々に対する技術の普及、またはその水準の向上を目的として技術の提供を無償で行う経済協力の一手法。 |
研修員受入事業 | 開発途上国において指導的役割を担うことが期待されている行政官や技術者等を日本あるいは第三国に招へいし、専門知識・技術の移転を図る研修事業。 |
第三国研修 | 研修員受入事業のうち、日本が開発途上国に移転した技術を、その国を通じて周辺国などに移転・普及させるための研修事業。 |
青年研修事業 | 開発途上国の青年層を対象に、専門分野に関する研修を行うことによって、未来の国づくりを担う人材の育成に寄与することを目的とする事業。 |
技術協力プロジェクト | 一定の目標達成のため、必要とされる援助(専門家派遣、機材供与、長期研修等)を柔軟に組み合わせて効果的な技術移転を実施する事業。 |
技術協力専門家派遣 | 日本から開発途上国へ専門家を派遣し、相手国の実情に即した知識や技術の移転を図る事業。 |
青年海外協力隊 (JOCV:Japan Overseas Cooperation Volunteers ) |
開発途上国の要請に基づき、日本国内で募集・選考・訓練を行い、技術・技能を有する20歳から39歳までの日本の青年男女を、開発途上国へ派遣する事業。 |
シニア海外ボランティア | 開発途上国の要請に基づき、日本国内で募集・選考・訓練を行い、豊かな職業・社会経験を持つ日本のシニア層(40歳~69歳)を開発途上国に派遣する事業。 |
開発調査事業 | 技術協力の一つで、開発途上国からの要請に基づいて、専門家およびコンサルタントなどからなる調査団を派遣し、現地調査や国内作業を行い、その国の社会・経済開発に有効と認められる公共的な開発計画の推進に寄与する計画を策定し、報告書をとりまとめる事業。調査の過程で、相手国の担当者への技術移転を行うことも目的としている。 |
案件形成事業 | 日本のODA政策・戦略を踏まえ、また、開発途上国のニーズや複雑化・高度化する開発課題に的確に対応した協力事業を重点的かつ効果的に実施するため、援助の実施前段階において、プロジェクト形成調査や企画調査員派遣等により、日本の援助政策と被援助国の開発戦略の調整、特定分野に関する調査およびデータの収集・分析、優良案件の発掘・形成や要請案件の調整・整理、国際的な援助動向に対する情報収集・対応を行う事業。 |
有償資金協力 | 政府直接借款(日本の場合、通常「円借款」と呼ばれる)の供与、すなわち低金利で返済期間の長い緩やかな条件(譲許的な条件)で、開発途上国に対して開発資金を貸し付ける手法の援助。開発途上国に対する援助を行うにあたっては、贈与に加え、開発途上国に借款を供与し、返済義務を課すことによって、その国の自助努力を一層促すことができる。日本は、当該国の所得水準等様々な要素を考慮して借款条件を決定している。 |
円借款 | → 有償資金協力を参照。 |
債務救済 | 開発途上国の国際収支が悪化し、既存債務の支払が困難になった場合、支払期限が到来したか、または将来到来する債務の支払を猶予し、一定期間にわたる分割返済を認めたり(債務繰延:リスケジュール)、これを免除(債務免除または債務削減)すること。 |