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7 スウェーデン

(1)援助政策等
 スウェーデン国会は2003年12月、政府が提出した「共有責任:全地球的発展のためのスウェーデンの政策(PGD)」を全会一致で承認した。PGDは、公正で持続可能な全地球的開発への貢献を目標とし、人権の視点を浸透させ、貧困者の視点を基礎とすることとしている。この中では、PGDの目標達成に向け、通商、農業、環境、安全保障、移民、経済等の各分野の政策における一貫性を確保することの重要性を強調し、[1]人権の尊重、[2]民主主義及び良い統治、[3]男女共同参画、[4]天然資源の維持可能な使用・環境保護、[5]経済成長、[6]社会開発・社会保障、[7]紛争防止・解決、[8]国際公共財の各主要構成要素に関連した活動を強化することとしている。開発協力は、全地球的発展のための、特に最貧国に焦点を当てた主要な手段として位置づけられ、貧困撲滅のための自助努力を支える環境への貢献を目的とし、被援助国自身の戦略及び優先度に基づいた援助を目指している。
 スウェーデンの開発協力における二国間援助と国際機関を通じた援助の比率は、1980年代以降、概ね7対3で推移してきている。国際機関を通じた援助においては、1980年代までUNDP及びUNICEFに対する援助が国際機関に対する援助の過半を占めてきたが、最近では難民支援に力を入れており、UNHCRに対する援助の占める割合が累増している。また、贈与比率は99%以上であり、アンタイドを原則としている。
 スウェーデンの開発援助は、1860年代のエチオピアへのキリスト教伝道師派遣を起源とし、1952年に政府とNGOが共同委員会を創設して本格的に開始された。その歴史的背景から、開発援助においてNGOの果たす役割は大きく、二国間援助の約18%がNGO向けに拠出されている。
 スウェーデン政府は1996年、財政再建のため1997年度以降の3年間、開発協力予算を対GNI比0.7%の水準まで引き下げることを決定したが、その後の財政状況の回復を受け、対GNI比1%を開発協力に割り当てることを現政権の目標としつつ、2000年度から2005年度の間に、開発協力予算を140億スウェーデン・クローネ(SEK)から237億SEKに増額し、対GNI比も0.72%から0.88%(予算ベース)に引き上げてきている。
 2005年のスウェーデンのODA実績(DAC統計ベース:暫定値)は、32億8,000万ドル(対GNI比0.92%)、対前年比20.5%増であった。
 2006年度予算における「対GNI比1%達成」の公約履行については、2005年当初からヌーデル財務大臣が積極的な姿勢を示すなどしていたところ、2006年度予算では260億SEKの開発援助を見込んでおり、2006年中の目標達成が確実視されている。

(2)実施体制
 援助の担当大臣は、開発協力大臣(外務大臣とは別の開発協力担当の大臣)であり、これを外務副大臣(開発協力担当)、外務省全地球開発局及び外務省全地球安全保障局(人道支援等)が補佐している。開発協力を含む各国ごとの外交政策は地域担当部局が調整し、開発協力政策の企画・立案及び予算計上は全地球開発局等が行う。
 援助の実施は、外務省全地球開発局(国際機関を担当、職員数約70人)及びスウェーデン国際開発協力庁(Sida:二国間援助を担当、同759人(国内587人、海外172人))が行う。国別援助戦略は、Sidaが被援助国との広範な協議に基づいて作成・提案し、外務省が承認する。現在、約40の国別援助戦略が存在するが、それぞれ被援助国との協力関係を多様な観点から検討し、一定期間内にスウェーデンが関与すべき事項が示されている。援助評価は現在、Sidaが中心となって行われているが、PGDにおいては独立した評価機関の設置が提案されており、政府は検討を進めている。
 スウェーデンの約300ある中小の開発援助関係NGOは、13の大規模開発援助関係NGOの下に事実上組織化されており、補助金、プロジェクト資金等の申請は、「アンブレラ組織」等と称される大規模NGOを通じて、Sidaに対して提出することされている。

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