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12 韓国

(1)援助政策等
 韓国の援助対象国は、DACが規定する開発途上国であり、国民所得、経済・社会発展段階等を考慮して決定される。これまで、全世界約140余りの開発途上国が支援対象となっており、特に韓国と地理的、文化的同質性が強く、人的・経済的交流が活発なアジア諸国に主に支援してきた。しかし、2006年からは選択と集中の原則に従い、地域別に重点支援対象国を選定し、限定された財源を集中して支援することによって、対象国により効率的に支援を提供するよう努力している。この他にも、イラク、アフガニスタン等、紛争後の再建を推進中の国家も韓国の主要な援助対象国である。援助対象分野は、経済インフラ建設支援のほか、教育、保健、医療等開発途上国の基礎的な社会サービス分野に対する支援を重点的に推進しており、韓国の経済開発経験を共有するための研修生招へい、専門家及びボランティアの派遣も強化している。
 2005年の韓国のODA実績は、7億4,400万ドル(暫定)であり、このうち二国間援助が全体の61%を占め、二国間援助の中では無償援助(贈与)が69%を占めている。1997年の通貨・金融危機の影響により1998年はODAの規模が一時的に減少したものの、1999年からは再び拡大している。2005年の韓国のODA規模は、対GNI比0.09%の水準であり、韓国政府は2009年までにODA規模を対GNI比0.1%に拡大すると決定した。
 あわせて、韓国政府は、イラク、アフガニスタン再建支援のための努力を積極的に展開している。まず、アフガニスタンに関連し、2001年に1,200万ドルをアフガニスタン難民に緊急支援しており、2002年1月に東京で開催されたアフガニスタン支援のための閣僚級会議に参加し、2002年から2004年まで、総額4,500万ドルをアフガニスタンに支援すると約束した。これに従い、2004年上半期のうちに約束額の全ての支援を完了した。さらに、2006年1月ロンドンで開かれた「アフガニスタン支援会議」では3年間でアフガニスタンに2,000万ドルを支援すると約束した。また、イラク再建支援のため、2004年に6,000万ドルを支援した他、2003年10月にマドリッドで開催されたイラク支援国会合で2004年から2007年までの間、総額で2億6,000万ドルをイラクに支援することを約束し、現在これを履行中である。
 また、韓国政府は発展途上国で発生した自然災害による被害復旧も積極的に支援している。2004年12月にスマトラ島沖地震・津波の被害については計5,000万ドルを無償支援することにし、この中の一部は被害国に対する緊急支援として実施し、残りは被害国の中長期再建・復旧のための支援を継続中である。この過程で韓国政府はWHOUNDP等国際機構とも積極的に協力した。2005年にはパキスタンの大地震についても総額420万ドルの無償援助を提供し、再建のための借款支援も協議中である。韓国政府はこうした海外緊急災難の際、より体系的な支援をするためのシステム構築作業を進行中である。

(2)実施体制
 韓国は1960年代半ばから研修員招へい等の小規模の技術協力を実施してきており、1980年代後半からは専門的な援助機関を設立し、体系的な援助を行ってきている。1987年には、「対外経済協力基金(EDCF)」を設立し、開発途上国への借款供与を始めた。監督・管理は財政経済部が担当し、実務は韓国輸出入銀行の経済協力室が担当している。1991年からは、それまで各官庁別に実施してきた開発途上国協力事業を外務部(現在の外交通商部)に統合・一元化し、外務部の下に無償資金協力と技術協力を担当する実施機関として「韓国国際協力団(KOICA:Korea International Cooperation Agency)」を設立した。なお、KOICAの実員は2006年7月現在で206名である。
 一方、現在まで無償援助は外交通商部が中心に、有償援助は財政経済部を通じて、二元化され実施されてきたODA政策の問題点を補完するために、2005年11月に国務調整室主管で「対外援助政策改善総合対策」を策定した。あわせて、同対策に従い、官民が共同参加し有無償援助政策を総括審議する「国際開発協力委員会」が2006年3月、国務総理を委員長とし発足した。


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