前頁前頁  次頁次頁


資料編3,4,5章 > 第3章 > 第3節 > 2 > [25]国連薬物犯罪オフィス(UNODC:United Nations Office on Drugs and Crime)

[25]国連薬物犯罪オフィス(UNODC:United Nations Office on Drugs and Crime)
1.設立及び日本の協力開始の時期・経緯・目的
開始時期
 1991年に国連薬物統制計画及び犯罪防止刑事司法計画が設立され、1997年に両者が統合された。日本は、国連薬物統制計画基金に対しては1991年の設立当初から拠出を行っている。また、犯罪防止刑事司法基金に対しては、1999年から2002年まで及び2005年から2006年に拠出を行ってきている。
経緯・目的
 UNODCは持続可能な開発と人間の安全を確保する観点から、不正薬物、犯罪、国際テロリズムの問題に包括的に取り組むことを目的とする。
 薬物問題に専門的に取り組むため、国連薬物統制計画(UNDCP: United Nations International Drug Control Programme)が、1990年国連総会決議45/179に基づき設置された。また、国際犯罪に対応するため、犯罪防止刑事司法計画(CPCJP: Crime Prevention and Criminal Justice Programme)が、1991年国連総会決議46/152に基づき設置され、国連犯罪防止刑事司法部がその実施を担当していた。1997年、国連犯罪防止センター(CICP: Centre for International Crime Prevention)が事務総長報告A/51/950に基づき設置され、CICPがCPCJPの実施を担当することとなった。1997年、相互に関連する不正薬物、犯罪、国際テロリズムに包括的に対応するため、UNDCP及びCICPを包含する組織として1997年事務総長報告書A/51/950に基づき国連薬物統制犯罪防止オフィス(UNODCCP: United Nations Office for Drug Control and Crime Prevention)を設置し、2002年、現在の国連薬物犯罪事務所(UNODC:United Nations Office on Drugs and Crime)に改称し、それに伴い組織としてのUNDCP及びCICPもUNODCに統合された。なお1999年には、国際テロリズムへの対応を強化するため、テロ防止部(Terrorist Prevention Branch)が設置されている。

2.事業の仕組み
概 要
 主な事業は、[1]政策及び事業決定過程に資するため、不正薬物及び犯罪に関する調査・分析を行うこと、[2]国連加盟国の不正薬物、犯罪、テロリズムに関する各条約の締結・実施及び国内法整備を支援すること、[3]国連加盟国に対し、不正薬物、犯罪、テロリズム対策における能力向上のための技術協力を提供することの三つである。また、UNODCは、国連麻薬委員会、国連犯罪防止刑事司法委員会および国際麻薬統制委員会の各委員会、及び国際組織犯罪防止条約と国連腐敗防止条約の事務局機能を果たしている。
審査・決定プロセス
 UNODCは、薬物対策実施のための国連薬物統制計画(UNDCP)基金及び犯罪・テロリズム対策実施のための犯罪防止刑事司法基金(CPCJF: Criminal Prevention and Criminal Justice Fund)の2つの基金を有する。基金の使途等については、国連の監査を受けるとともに、各々国連麻薬委員会及び犯罪防止刑事司法委員会の会期間会合において審議され、各委員会の本会議で正式に決定される。

3.最近の活動内容
主要な事業
(1)薬物
 国連薬物統制計画基金の2004―05年における技術協力事業の分野別内訳は、薬物乱用防止約1,700万ドル(18%)、代替開発約2,200万ドル(23%)、HIV/AIDS対策約1,500万ドル(15%)、不正取引取締約4,300万ドル(43%)、政策支援約150万ドル(1%)等となっている。
(2)犯罪防止・刑事司法
 犯罪防止及び刑事司法を任務とし、各国の国際組織犯罪防止条約及び関連議定書や国連腐敗防止条約等の締結・実施を支援し、また「司法の独立」「犠牲者の保護」「拘禁の代替化」「囚人の待遇」「警察力の行使」「司法共助及び犯罪人引渡」等に関する基準・規範の定義・促進に努めている。
 特に、腐敗、組織犯罪、人身取引に対する各グローバル・プログラム、及びテロ防止部を通じて、法の支配の強化や安定した刑事司法制度の促進など、国際組織犯罪の脅威との闘いに取り組んでいる。

4.日本との関係
意思決定機構における日本の位置づけ
 日本は、国連麻薬委員会及び犯罪防止刑事司法委員会のメンバー国として、また、主要拠出国として、長年にわたりUNODCの政策決定に参画しており、日本の発言は上記両委員会及び主要拠出国会合等における審議・決定に反映されている。また、コスタUNODC事務局長は2006年7月に約3年ぶりに訪日し、関係省庁等との意見交換を行った。
邦人職員
 2006年2月現在、邦人職員数は11名である。
日本の拠出
 薬物統制計画基金に対する日本の拠出は、2004年は約304万ドル(全体に占める割合3.6%)で世界第5位、2005年は約250万ドル(3.0%)で第5位となっている。
 犯罪防止刑事司法基金に対しては、2003年以降拠出を行っていなかった(2001年は20万ドル、2002年は9.4万ドルを拠出)が、2006年に約2万3,000ドルを拠出した。また、2002年に同基金の中に新設されたGlobal Program against Terrorismに対し、2006年度予算より5万ドルを拠出した。
日本の拠出金の活用状況
 日本は、薬物問題が各国の社会的経済的発展を阻害する要因となっており、また、不正薬物の国外からの流入が日本においても大きな問題のひとつとなっているとの認識から、東南アジア地域を中心に、UNODCの薬物対策における活動を積極的に支援してきている。これまで日本は、東南アジア(タイ、ラオス、ミャンマー、ベトナム、カンボジア、中国)国境における不正薬物取引の取締強化のためのプロジェクト(2005年までの拠出額280万ドル)や、ミャンマー「ワ」地区における薬物統制及び代替開発プロジェクト(同363万ドル)の他、不正薬物を製造する際に必要となる前駆化学物質の規制を行うプロジェクト(同63万ドル)、合成薬物のデータ収集を目的としたプロジェクト(同65万ドル)などを支援してきた。また、アフガニスタンやイランにおける薬物対策プロジェクトにも支援を行っている。
 また、日本は、2006年に犯罪防止刑事司法基金に対して行った拠出を通じて、UNODCの東南アジアにおける人身取引問題への取組を支援している。
主要拠出国一覧

表

5.より詳細な情報
ホームページ
 http://www.unodc.org


前頁前頁  次頁次頁