囲み I-3 保健関連MDGsに関するアジア太平洋ハイレベル・フォーラムの概要
6月21日及び22日、日本は、アジア開発銀行(ADB)、世界銀行、世界保健機関(WHO)とも協力して、「保健関連MDGsに関するアジア太平洋ハイレベル・フォーラム」を東京で開催した。
1.概 要
(1)参加者
アジア太平洋地域の24か国の政府から、11名の閣僚を含む、保健または財務/開発省関係者が参加し、また、13の主要ドナー国・機関から高官が出席。日本政府からは、逢沢一郎外務副大臣、西博義厚生労働副大臣が出席。外務省経済協力局長が議長を務めた。
(2)「保健と開発」に関するイニシアティブ
冒頭挨拶において逢沢外務副大臣より「沖縄感染症対策イニシアティブ(IDI)」の後継イニシアティブとして、保健分野のMDGs達成により焦点を当てた「「保健と開発」に関するイニシアティブ」を発表し、保健分野のMDGs達成に向けた協力を一層拡充していく考えである旨表明した(イニシアティブの詳細については第II部第2章第1節2(ハ)参照)。
(3)議論の概要
(イ)アジア太平洋地域においては、MDGs達成に向け一定の進展が見られるものの、域内・国内における格差の問題、心臓病・高血圧などの感染症以外の病気、SARS・鳥インフルエンザなどの新興感染症の問題など、引き続き多くの課題が存在することが確認された。
(ロ)分科会では[1]能力開発を通じた保健システムの強化、[2]教育、水・衛生、環境、インフラ整備を含む分野横断的取組、[3]資金の確保および効果向上、[4]保健サービスへの衡平なアクセスの4つの主要テーマに沿って、課題を克服するための各国における成功事例、教訓が紹介され、参加国間で情報の共有が行われた。また、保健分野のMDGs達成に向けた今後の取組として、各国のコミットメントの重要性と、南南協力を含む地域協力の強化が必要であることについて共通の認識が得られた。
2.評 価
(1)保健分野のMDGs達成に向けた取組推進のための知見の共有及びアジア太平洋地域の視点の発信
(イ)議長総括では、保健分野のMDGs達成に向けた取組を進める上で、日本が重視する、[1]成長を通じた貧困削減、[2]インフラ整備も含めた分野横断的取組の必要性、[3]南南協力、[4]人間の安全保障、[5]女性の能力強化とリプロダクティブ・ヘルス・サービスへのアクセス確保の重要性が盛り込まれた。
(ロ)参加国より、本フォーラムでの議論は時宜を得た有益なものであり、本フォーラムの結果を、9月の国連首脳会合に向けてアジア太平洋地域の視点として発信すべきとの意見が多数寄せられた。これを受けて、議長総括は国連の正式文書として広く国際社会に提示されることとなった。
(2)日本のMDGs達成に向けた取組に対する評価と期待
日本が「保健と開発」に関するイニシアティブに基づき保健分野のMDGs達成に向けた協力を一層拡充していく考えである旨表明したことにより、日本のMDGs達成に向けた取組をアピールすることができた。
また、多くの参加国から、これまでの日本による保健医療分野における協力に対する評価・謝意の表明がなされた。同時に、「「保健と開発」に関するイニシアティブ」の下での、保健分野のMDGs達成に向けた今後の一層の取組の強化・拡充に対する強い期待感が表明された。
3.参加国・機関
オーストラリア、バングラデシュ、ブルネイ、カンボジア、ブータン、中国、フィジー、フランス、インド、インドネシア、韓国、キルギス、ラオス、ルクセンブルグ、マレーシア、モンゴル、ミャンマー、ネパール、パキスタン、パプア・ニューギニア、フィリピン、サモア、シンガポール、スリランカ、タイ、トンガ、英国、米国、ベトナム、ADB、EC、ESCAP、GAVI、IMF、IPPF、UNAIDS、UNDP、UNFPA、UNICEF、世界銀行、WHO