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2.スーダン

 スーダンでは、1980年代後半から1990年初頭にかけて著しい人権侵害状況が見られ、日本を含む国際社会が同国における人権侵害状況の改善を再三要求してきました。しかしながら、スーダン側の対応に変化が見られなかったため、日本は、旧ODA大綱の「原則」に照らして、1992年10月以降、原則として同国に対する援助については、緊急かつ人道的性格のものにとどめ、それ以降もWFPUNICEFなどの国際機関を通じて限定的に実施してきました。1999年以降は、長年の内戦による国内避難民の発生、周辺国からの難民の流入などの状況を考慮し、草の根・人間の安全保障無償を同国に導入し、保健医療、難民支援などの活動を行うNGOを通じた支援も行ってきました。
 こうした中、スーダンにおいて、2005年1月9日、20年以上に及ぶアフリカ最長の内戦に終止符を打つ南北間の包括的和平合意が成立したことを受け、日本は、9か国と国境を接するアフリカ最大の国であるスーダンにおいて平和を定着させることが中東・アフリカ地域のために重要であることなど、総合的な見地から判断して、スーダン政府への直接支援も含め同国における平和の定着を積極的に支援することとしました。日本は、同年4月11日にオスロで開催されたスーダン支援国会合において、スーダンにおける平和の定着のために当面1億ドルの支援を実施することを表明しました。なお、同会合は、アナン国連事務総長をはじめ、60以上の国・地域・機関の代表が出席し、日本を含む参加国から2005年から3年間の支援要請額約41億ドルに対して、総額45億ドル以上の支援が表明されました。
 一方、スーダン西部のダルフール地域では、スーダン政府・アラブ系民兵と反政府勢力との間の紛争が2003年より激化し、大量の国内避難民と難民が発生するなど深刻な人道状況が見られています。国連安保理は、2004年7月から2005年3月にかけて、スーダン政府に対してアラブ系民兵の武装解除や責任者の処罰を要請する決議、スーダン政府への制裁措置の発動を示唆する決議、武器禁輸対象の拡大、資産凍結、渡航禁止に関する措置の実施に関する決議、ダルフールにおける国際人道法・国際人権法の重大な違反の事案を国際刑事裁判所(ICC:International Criminal Court)に付託することを内容とする安保理決議をそれぞれ採択しています。
 こうした状況に対し、オスロ支援国会合でも、日本を含む各国からダルフールにおける深刻な人道、治安情勢に対する懸念が表明されました。
 日本は、和平の定着支援の実施と並行して、安保理非常任理事国としてダルフール問題について安保理における議論に積極的に参加していくとともに、同問題の解決に向けてスーダン政府を含め関係者の具体的努力を引き続き粘り強く働きかけることとしています。スーダンに対する政府開発援助の全面再開についても、ダルフール地域の人道状況の改善に向けたスーダン政府の具体的取組の進め方を見つつ、総合的に検討していくこととしています。なお、日本のNGOの支援活動については、ジャパン・プラットフォーム傘下のNGOなどが政府資金によりダルフールにおいて国内避難民への支援を実施しています。


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