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columnI-10 青年海外協力隊の成果と歩み

 来年(2005年)青年海外協力隊は創設40周年を迎えます。青年海外協力隊は、日本の青年団体や若手国会議員の提案なども踏まえ創設された制度で、20歳から39歳の日本の青年男女が、途上国に概ね2年間滞在し、農林・水産、保健衛生、教育文化等の分野において、相手国の人々と生活や労働を共にしながら、相手国の社会的、経済的発展に協力するものです。1965年に最初の協力隊員5名がラオスへ派遣されて以来、これまでに25,000名を超える協力隊員が78か国で活躍してきました。「途上国の発展のために協力活動を行いたい」という青年の意志が出発点となるこの事業は、その高い知名度が示すとおり、まさに国民参加型援助の典型として内外から高い評価を得ています。
 途上国の住民と一体となって地道な活動を展開する協力隊員は、現地が必要とするものにきめ細やかに対応できることに加え、その国の住民の抱える課題を直接的に把握することによって、さらなる協力への橋渡しをする役割も担うことができます。また、協力隊員は日本と途上国との相互理解の増進にも寄与しています。教師隊員が活動の様子を日本の子供達に伝えたり、帰国した協力隊員がNGO活動などを通じて受入国への協力を引き続き行ったりしていることからみても、協力隊はまさに、日本と途上国の市民が「真の友人」となることに貢献していると言えるでしょう。
 さらに、帰国後の協力隊員が活動を通して得た経験を国内外に還元していくことも、この事業の大きな特長です。協力隊員経験者は、国際協力分野における貴重な人材源となり得ることはもちろんですが、日本国内の地域社会の課題に取り組むなど、その帰国後の活躍の場はますます広がってきています。
 このように深い意義をもった協力隊事業は、国内の様々な人々の支援を受けています。現職を持ちながら協力隊に参加するための制度を整備する地方自治体や企業、短期間現地に赴いて協力隊員の活動を手伝ったり、活動現場で必要とする物資の寄付、寄贈を行う市民等、この事業を支援する輪はますます広がっています。そして2万人を超える帰国協力隊員自身が、この事業の力強い理解者、支援者の核となっていることも特筆に値するところです。

羽田空港を出発する青年海外協力隊第1期生 (写真提供:国際協力機構(JICA))
羽田空港を出発する青年海外協力隊第1期生 (写真提供:国際協力機構(JICA))


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