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12 韓国
(1)援助政策等
韓国はDAC加盟国ではない(オブザーバー)が、近年、開発途上国に対する援助を活発化している。また、アフリカ開発会議(TICAD)やアジア・アフリカフォーラムといった援助協議にも積極的に参加しており、韓国としての支援策を表明するなど活発な動きが見られる。
日本との関係では、これまで日本が主催するモンゴル支援国会合等に参加したほか、1993年には日韓の間で初の局長級の援助政策協議を開催し、2000年からは日韓共同で第三国研修を実施する等、緊密な協力関係も進みつつある。
韓国の援助対象国は、DACが規定する開発途上国であり、開発途上国の情報格差の解消と人的資源開発を支援するとの原則に基づいて決定される。援助対象国には、大部分の開発途上国が含まれるが、韓国と緊密な関係を有するアジア諸国に重点が置かれている。援助対象分野は、経済インフラ建設の他、教育、水供給などの社会インフラ等も重視しているが、今後は、環境、女性の能力開発といった分野にも対象を広げる方向で検討を行っている。
2002年のODA実績は、2億8,000万ドルであり、このうち二国間援助が全体の74%を占め、二国間援助の中では贈与が32%を占めている。最近は、無償援助とODA借款の供与の増大に伴い、二国間援助の比率が増大する傾向にある。1997年末のアジア通貨・金融危機の影響により1998年はODAの規模が一時的に減少したものの、1999年からは再び拡大している。
韓国政府は2001年末、アフガニスタン難民に対して1,200万ドル規模の人道的援助を提供したのに続き、2002年から2年半、総額4,500万ドル規模の無償援助を提供しアフガニスタン再建を支援する等、国際的な開発協力に関する問題にも積極的に参加していくことを目標としている。
さらに、2003年度には、イラクに対して、1,000万ドルの人道支援及び5,000万ドルの再建支援を行い、2003年10月にマドリッドで行われたイラク復興支援国会合で2004年から2007年までの間、総額で2億ドルをイラクに支援することを発表した。
なお、ODAの対国民総所得(GNI)対比は2002年は0.06%にとどまっており、これを0.1%まで拡大するために努力しており、DAC加盟にも努力している。
(2)実施体制
韓国は、1960年代半ばから研修員受入等の小規模の技術協力を実施してきており、1980年代後半からは専門的な援助機関を設立し、体系的な援助を行ってきている。1987年には、「対外経済協力基金(EDCF)」を設立し、開発途上国への借款供与を行っている。この機関の業務は、途上国向け借款、海外投融資資金貸付に大別され、監督・管理は財政経済部が担当し、実務は韓国輸出入銀行内の経済協力基金部が担当している。1989年からは韓国海外青年奉仕団派遣事業が開始された(1990年より実際の派遣開始)。1991年には、それまで各所管官庁別に実施してきた途上国協力事業を外務部(現在の外交通商部)に統合・一元化し、外務部の下に無償資金協力と技術協力を担当する実施機関として「韓国国際協力団(KOICA:Korea International Cooperation Agency)を設立した。なお、KOICAの実員は2002年11月現在で162名である。