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(22)米州開発銀行(IDB:Inter-American Development Bank)
1.設立及び日本の協力開始時期・経緯・目的
開始時期
IDBは1959年に設立された。日本はアジアからの唯一の加盟国として1976年より他の域外国とともに加盟した。
経緯・目的
IDBは中南米及びカリブ海地域の途上国の経済的・社会的開発を促進することを目的として設立された(本部ワシントン)。2002年末現在で46か国が加盟している。そのうち米州域から28か国(26の中南米諸国と米国及びカナダ)、また域外のメンバー国としてヨーロッパ、中近東(イスラエル)、アジア(日本)から18か国が加盟している。
2.事業の仕組み
概 要
IDBの主な機能は、[1]開発途上加盟国に対する資金の貸付、[2]開発プロジェクト・開発プログラムの準備・執行のための技術支援及び助言業務等である。
IDBの財源には、比較的所得の高い開発途上加盟国に準商業ベースで貸付を行うのに使用される「通常資本(OC)」と、低所得国向けに緩和された条件で貸付を行うのに使用される「特別業務基金(FSO)」がある。2002年末現在、OCは1,009億ドル、FSOは96億ドルとなっている。
審査・決定プロセス
借入国と協議の上、プロジェクト・プログラムを策定し、理事会において審査・決定がなされる。
決定後の案件実施の仕組み
借入国が案件を実施し、IDBはモニタリングを行っている。
なお、2002年において日本特別基金による支援は21件(承認ベース)であり、主なものを列記すれば以下のとおりである。

3.最近の活動内容
概 要
開発プロジェクト等の融資財源は通常資本財源(OC)と特別業務基金(FSO)からなり、OCからの融資は準コマーシャル・ベースで実施されるのに対して、FSOからの融資は長期で低利のより緩和された条件で実施されている。
主要な事業
2002年の融資総額は、OCが41億ドル、FSOが4億ドル、2001年はOCが74億ドル、FSOが4億ドルである。これを分野別(2002年)に見ると、保健・衛生、都市開発、教育等の社会部門が26億ドル(総額比57.1%)、エネルギー、運輸・通信等のインフラ分野が6億ドル(総額比12.8%)、農林・漁業、鉱工業・観光等の生産部門が7億ドル(総額比14.7%)となっており、社会セクター支援に重点を置いている。
4.日本との関係
意思決定機構における日本の位置づけ
最高意思決定機関は、各加盟国の総務により構成される総務会であり、日本は財務大臣が総務に任命されている。また、融資の承認等の日常業務の意思決定は14人の理事(域内11名、域外3名)からなる理事会で行われており、日本からも常時、理事が選任されている。
邦人職員
専門職員1,473名のうち日本人職員17名(2002年末現在)
財政負担
通常資本資本金(応募ベース)1,009億ドルのうち、日本の出資額は51億ドル(シェア5.0%)であり、域外国中第1位。また、特別業務基金96億ドルのうち日本の拠出額は5.7億ドル(シェア6.0%)であり、域外国中第1位である。
日本の信託基金への拠出状況
2001年度拠出 約9.5億円
2002年度拠出 約7.0億円
使途
[1]プロジェクトの案件発掘や事業化のための事前調査などプロジェクトの案件形成に対する支援。
[2]開発途上国政府の制度の企画・立案等に対する政策助言の支援。
[3]開発途上国政府職員等を対象とした研修プログラムの実施など人材育成活動の支援、日本の人的貢献を支援。
5.より詳細な情報
書籍等
年次報告:1年間の途上国援助活動を国別・課題別にとりまとめている他、域内途上国のデータを掲載している。例年4月に発行されており、米州開発銀行本部及び米州開発銀行東京事務所にて入手が可能である。また、一部についてはホームページにも掲載されている。
ホームページ
米州開発銀行ホームページ(http://www.iadb.org)
途上国支援活動にかかわる最新情報や職員の募集情報、開発政策にかかる各種詳細情報を提供している。また、米州開発銀行東京事務所もホームページを開設しており(ホームページhttp://www.iadb.org)、一部日本語の資料等の提供を行っている。