I-20 人間の安全保障基金
1.目 的
本基金の目的は、人間の安全保障の視点に立って、現在の国際社会が直面する貧困、環境破壊、紛争、地雷、難民問題、麻薬、HIV/AIDS等感染症などの人間の生存、生活、尊厳に対する多様な脅威に取組む国連関係国際機関のプロジェクトを支援することを通して、人間の安全保障の考え方を具体的な活動に反映させていくことである。本基金に対し支援要請ができるのは、国連システム内の機関である。
2.支援対象分野
当該プロジェクトの実施により、人間の安全保障という観点から、貧困、環境悪化、難民や国内避難民、感染症などの問題により生存、生活、尊厳が脅威にさらされている個々人が、具体的にどのように、どの程度の持続性をもって裨益するかということを、支援対象の審査に当たっての重要な基準としている。
具体的な支援対象分野の例
●貧困対策:コミュニティ復興、職業訓練、食糧増産、児童保護など
●難民・国内避難民支援:帰還支援、生活環境改善など
●保健医療:母子保健、HIV/AIDS等感染症対策、公衆衛生改善など
●麻薬対策:代替作物の導入など
●越境犯罪:婦女子の人身売買対策など
3.拠出実績(約229億円)
99年 基金設置、約5億円を拠出
コソボ復興難民帰還及び東ティモール復興支援のため約66億円を拠出
2000年 25億円を追加拠出
15億円の追加拠出
2001年 77億円の追加拠出
2002年 40億円の追加拠出
4.これまでに支援した主要案件
UNDCP「ミャンマー・ワ地域における薬物需要削減プロジェクト」(20万ドル)
麻薬製造地域において集落レベルの保健医療関係者の研修を行うとともに、同地域の元薬物乱用者のリハビリを通して集落住民の健康状態の改善を図る。アヘン及び他の薬物の供給と需要を削減することを目的とするプログラムの一部を成す。
UNIFEM「アフガニスタンにおける難民・避難民女性の共同体構築への統合」 (103万ドル)
アフガニスタンにおいて、難民、避難民の女性がコミュニティ(共同体)における社会的、経済的、政治的活動に参加することを促し、社会に再統合されることを目的に、「女性コミュニティ・センター」を設立し、保健や教育に関するサービス、心理カウンセリング、職業技能訓練等を実施する他、メディアを通じ女性の権利やジェンダー問題に関する啓蒙活動を実施する。
UNFPA「キルギス北部における医療サービス発展計画」(51万ドル)
キルギス北部においてコミュニティの保健医療サービスを強化し、成人および思春期の男女のリプロダクティブ・ヘルス(生と生殖に対する健康)の状況を改善することを目標に、HIV/AIDSおよび性感染症の予防に関する啓蒙活動を実施する。
UNICEF「ペルーにおける妊産婦の健康管理及び乳幼児の発育支援統合計画」(71万ドル)
過去にテロにより被害を受けたペルー・アプリマック県において、妊産婦及び乳児を対象に、乳幼児の発育に関する教育、妊産婦の健康管理、幼児教育の場の提供及び実践、栄養に関する教育を行う。
UNDP「シエラレオネにおける職業訓練および経済的自立を通じた元兵士の社会復帰支援プロジェクト」(309万ドル)
シエラレオネ東部州および北部州において元兵士の社会復帰および社会への再統合を支援するために、元兵士を対象に職業訓練や教育を行い、さらに小規模事業を立ち上げることにより雇用機会の創出を図るとともに、元兵士、国内避難民、帰還民を対象に市民としての意識向上のための啓蒙活動を実施する。