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(2)ODA以外の政府資金(OOF)及び民間部門との連携
世界全体の途上国への資金の流れを見ると、90年にはODAが全資金流入量の約44%を占めていたのに対し、2000年には約26%となりました。一方、その間にその他の政府資金(OOF)や民間資金の金額はほぼ倍増し、ODA以外の資金は全体の約4分の3を占めています。したがって、ODAを効果的・効率的に実施するためには、JBICによる公的輸出金融、投資金融、アンタイドローンなどODA以外の政府資金(OOF:Other Official Flows)や独立行政法人日本貿易保険による貿易保険の付保、さらには民間からの海外直接投資(FDI:Foreign Direct Investment)や銀行貸出などの資金の流れも見据え、それぞれの資金の性質を踏まえた役割分担と連携を図りつつ、効果的な開発援助を進めていくことが必要です。
例えば、経済社会インフラの整備に関しては、従来公的セクターが実施するものとして進められてきましたが、90年代以降、民間部門の資金・技術やイニシアティブを活用したインフラ整備の取組が検討されてきています。途上国の市場経済化の取組を支援する観点から、開発ニーズに応じ多様な資金調達が確保されることは極めて重要であり、途上国側の要請に応じて、わが国のODAとOOF、貿易保険などの公的資金、国際開発金融機関との連携・相互補完による資金供与が実施されてきています。また、ODAに係る政府間対話においても途上国の投資環境問題等をとりあげて途上国の国内制度の改善を促すことにより、わが国民間部門と連携した、より効果的な開発に向けた取組を強化しています。
わが国においても民間部門との連携を強化する動きが進められています。例えば、JICAでは、近年の地域住民主導によるコミュニティ開発など、非政府部門の開発における多様化したニーズに適格に応えるため、民間企業やNGOの視点からの着想や創意工夫をプロジェクトの形成段階に取り入れる「民間提案型プロジェクト形成調査」を2000年度より実施しています。
また、JBICにおいても民間部門との連携の強化が進められています。対象プロジェクトの発掘・形成において、従来の要請ベースだけではなく、より現地住民に密接した視点からの案件形成や、地球環境保全事業のような近隣国全体をカバーした案件発掘など多様化した円借款ニーズに応えるとともに、国民参加を促進するべく、2001年度より案件形成調査の一形態として、提案型案件形成調査及び発掘型案件形成調査の2形態を導入しました。2001年度は、両者併せて、民間・NGO・地方自治体等34団体から38件の提案があり、JBICによる審査の結果、6件の契約を締結しました。


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