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I-3 円借款で人づくり


中国では、急速な経済発展の過程において、沿海部と内陸部の経済格差が広がっています。中国政府は、内陸部の高等教育機関の強化を通じて人材を育成し、格差是正を図る方針を採っています。また、中国は、WTO加盟後、改革開放路線をさらに推し進め、世界経済との関係を強めようとしています。そのためには、情報・金融・財政・会計・法律等市場ルールに精通した人材の育成が急務になっており、中国政府は、第10次5か年計画において、2005年には高等教育就学率を15%とするとの目標を掲げ、高等教育の拡大に取り組む政策を打ち出しています。
このような背景のもと、わが国は、効果的な支援を行うため、2001年度、国際協力銀行(JBIC)を通じて、中国に対する人材育成を目的とした円借款の供与(約300億円)を初めて行いました。供与の対象は、内陸部の6地域(陜西省・甘粛省・四川省・雲南省・湖南省・重慶市)64大学で、ハード・ソフトの両面を整備する事業です。
ハード面の整備には、校舎・図書館の増改築、LL教室の新設、実験・研究設備の整備、情報ネットワークの導入などが含まれます。ソフト面に関しては、中国の対象大学の教員が日本の大学などで実施する研修・研究プログラムを受けることが柱になります。
今後、わが国の技術・経験が活用された教育・研究用機器及びシステムが中国内陸部の大学に導入されたり、両国の大学間交流が推進されることも見込まれており、この事業が日中間の交流拡大に寄与するものと期待されています。


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