I-1 タンザニアにおけるPRSP貧困モニタリング
タンザニアの貧困削減戦略文書(PRSP)は、2000年10月の世界銀行の理事会において承認されました。タンザニアは、そのモニタリングの取組が世界で最も早く始まった国の一つです。タンザニア政府と各ドナー国・機関、NGO、大学関係者等の協力により、2001年11月に「貧困モニタリング・マスタープラン」が完成し、現在は概ね次のような組織構成により貧困モニタリングが実施されています。
〈PRSP貧困モニタリングに係る組織〉
●研究・分析作業部会:調査結果の分析、優先順位の高い調査・分析項目の選定、調査分析にかかる政府の能力向上のニーズ把握、他の作業部会との連絡調整。
●調査作業部会:貧困モニタリングの手法の確立や、マスタープランで定められたサーベイの実施。
●行政情報作業部会:主に地方政府が主体的・恒常的に収集するデータの質の向上、収集システムの改善、またこれらの作業に必要な研修の実施等。
●普及作業部会:統計データや貧困分析結果の普及、PRSP年次報告書に対する情報提供等の作業。
このように、タンザニアではPRSPを着実に実施し貧困を削減していくために、貧困モニタリングの仕組みが構築されつつあります。しかし、少ない政府予算、人員不足、機材不足、地方政府と中央政府の連絡体制等、正確な情報を得てPRSPのレビューにおいて提供できるようになるまでには非常に時間がかかります。
わが国はPRSPの策定当初より、貧困モニタリングがPRSPの実施には非常に重要なものであると考え、貧困マスタープログラムの策定や各種調査の実施に、国連開発計画(UNDP)、英国等のドナーと共に積極的に参加してきました。このようなわが国の貢献が評価され、わが国は、国家貧困モニタリング運営委員会のドナー側メンバーに選出されています。