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2 国際協力銀行(JBIC)が行う海外投融資の概要と実績


1.事業の仕組み


概 要


 海外投融資は、円借款とともに、海外経済協力業務に属する事業であり、主として、民間セクターが開発途上国で実施する開発事業に対し、必要な資金を融資または出資(国際商品協定緩衝在庫に対する拠出を含む)する業務の総称である。
 民間企業が開発途上地域で開発事業を行う場合、さまざまなリスクがあり、また高い収益が望めないことも多いため、民間の金融機関から十分な資金が得られないことがある。海外投融資は、そのような事業に出融資することにより、開発途上地域の開発を支援するものである。円借款は政府ベースの経済協力により、開発途上地域の社会経済開発を支援するものであるのに対し、海外投融資は民間ベースの活動を通じて、開発途上地域の開発に貢献するものである。
 本邦や開発途上地域の民間企業等への融資及び出資の他、多国間協定に基づいて設立されたファンドや国際機関の中に設けられたファンド等への出資等も行っている。
 なお、海外投融資は2001年12月に発表された特殊法人等整理合理化計画において、2002年度以降は、2001年度末までに承諾された案件又はそれらと、それと継続的な性格を有する案件を除き廃止されることとなった。

審査・決定プロセス


(1)出融資を希望する企業等からJBICに提出された事業計画に関する資料等をもとに、JBICが、事業目的の適格性、事業計画(債権保全を含む)の妥当性等を検討し、その結果、当該事業が出融資対象として適当とJBICが判断した場合、出融資承諾が行われる。
(2)審査の段階では、事業の達成の見込み、環境配慮、債権保全等、事業計画が妥当かどうかの他、社会経済開発効果・経済協力性が十分にあるか、民間資金との競合がないか等について検討を行う。

決定後の案件実施の仕組み


 上記(2)の承諾後、JBICは出融資先の企業等との間で、当該出融資に係る契約書等を締結する。実際の出融資の実行は、契約に基づき、契約に定められた出融資限度額の範囲内で、出融資先の申請に基づいて、数回に分けて行なうことが多い。JBICは、当該事業の実施中には、出融資先より定期的に、事業の進捗状況、出融資先の経営状況等について報告を受け、また、必要に応じて現地への調査ミッション派遣を行うことにより、事業実施状況の確認を行っている。

3.最近の活動内容


概 要


 2000年度の海外投融資の実績は、承諾額49億8,300万円(前年度比468%増)、出融資実行額12億5,600万円(前年度比49%減)となった。また、2000年度末の海外投融資の出融資残高は、1,859億5,900万円となった。

図表-142 承諾、実行及び残高実績

承諾、実行及び残高実績


地域別実績


 2000年度の海外投融資の地域別承諾実績は、タイへの出資1件(全体の66%)、チリ向け融資1件(10%)、その他(世銀炭素基金への出資)1件(24%)である。

主要な事業


(1)世銀炭素基金への出資(2000年5月30日承諾。承諾額1千万ドル)
(2)タイ中小・中堅企業再建・育成ファンドへの出資(2001年3月14日承諾。承諾額2,500万ドル)

図表-143 海外投融資地域別承諾額

海外投融資地域別承諾額



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