資料編 > 第3章 > 第1節 > 15 フォローアップ事業の概要と実績
98年度に開始。
技術協力及び無償資金協力の終了案件のハード面に対する支援(供与済施設・機材の応急対策工事・修理・スペアパーツ供与等)は、従来技術協力機材供与事業、プロジェクト方式技術協力事業、無償資金協力事業各々において、個別に実施されてきた。しかしながら95年4月の「経済協力(政府開発援助)に関する行政監察結果報告書」の中でフォローアップ協力の強化が勧告され、また97年6月にとりまとめられた「21世紀に向けてのODA改革懇談会」中間報告においてもフォローアップの強化の重要性が提言され、特に案件実施後の事業の自立的発展のために援助形態の枠にとらわれない効果的な方法をとるべき、との指摘がなされた。
このため、98年度にフォローアップ事業を新設し、技術協力及び無償資金協力(一般プロジェクト無償、水産無償)により供与された施設及び機材等のハード面に対するフォローアップを統一的に実施することとした。さらに、従来技術協力機材供与事業により実施されていた帰国研修員に対する機材供与も、本事業に引き継がれ実施されることになった(技術協力機材供与事業は97年度を最後に廃止され、個別専門家に対する機材供与は技術専門家派遣事業に、WID(Women In Development:女性の社会参加)関連特別機材は青年海外協力隊派遣事業に引き継がれた)。
本事業では、終了案件で供与された施設及び機材の中で、相手国側が自助努力により維持管理しつつも、それのみでは経費負担を含む迅速な対応が困難であり、かつ我が国からの追加的な支援により当初目標としていた援助効果の持続的な発現と相手国実施機関の自立発展が十分見込まれる案件に対し、原状回復を目的として以下の業務を実施する。
(イ) フォローアップ調査
施設や機材の破損・故障等への対策を検討するため、本邦から派遣した調査団ないしJICA在外事務所が契約した現地コンサルタントが実施する調査。
(ロ) 施設等応急対策
施設の台風・洪水・地震等の自然災害による破損等に対する、本邦技術者ないし現地業者による原状回復のための工事。
(ハ) 資機材購送
破損した機材の修理部品ないしスペアパーツ等の供与。
(ニ) 修理班派遣
破損した機材の修理(据え付けを含む)のための技術者の派遣。
(ホ) 帰国研修員のためのフォローアップ機材
帰国研修員への技術移転効果を維持発展させるために必要な資機材の供与。
2000年度は、23か国31件についての調査、10か国16件の施設等応急対策、35か国53件の資機材供与、13か国13件の修理班派遣を実施した。
地域別実績は次表の通り。
図表-118 2000年度フォローアップ事業実績

マダガスカル第2の都市タマタベにあるトアマシナ中央病院は、無償資金協力(93年)により老朽化した医療機材が整備され、地域の中核病院として同国最高水準の医療サービスを提供してきた。同病院は厳しい財政状況の中、自助努力により、施設・機材の維持管理にかかる経費を毎年相当額確保にも努めてきた。ところが経年による機器の故障増加に対し、技術的・財政的な理由から、全ての修理は不可能となり、フォローアップ協力の要請があった。
これに対し、フォローアップ調査団を派遣して機器の活用状況及び不具合の状況を調査し、必要なスペアパーツを特定(軽微な故障については修理)した。今後、これらの修理部品の供与と修理技術者の派遣により、故障機器の修理と保守管理の指導を行い、機能回復を図るとともに故障の再発を防いでいく予定である。
また、トルコ地震災害の際には、兵庫県から寄付された仮設住宅の建設にあたり、日本式プレハブ住宅の組み立てに不慣れな現地の建設業者に対し、技術指導を行い、ドゥズジェとアドパザールの日本村の建設に大きく貢献した。