資料編 > 第3章 > 第1節 > 10 食糧増産援助(2KR)の概要と実績
77年度より、食糧増産援助としての特別の予算措置を講じて、農業資機材の供与を開始。
我が国は、開発途上国の食糧問題は、基本的には開発途上国自らの食糧自給のための自助努力により解決されることが重要との観点から、77年度以前は、食糧援助による供与品目の一つとして農業資機材を供与していたが、77年度からは食糧増産援助として新たな枠組みを設け、農業資機材の供与を行っている。
(因みに、2KRとは食糧援助の略称のKRに準じた呼称であり、我が国独自の用語である。)
被援助国による食糧増産計画に関する要請に基づき、当該国の食糧事情、経済社会情勢、外貨事情、我が国との関係、援助受入体制等を総合的に勘案し、被援助国が農業機械(耕耘機、トラクター、脱穀機、小型農機具等)、肥料、農薬などの農業資機材を購入するための資金を供与している。
我が国の在外公館を通じ被援助国から援助要請がなされた後、外務省において、現地調査を踏まえつつ要請資機材、数量、調達先、受け入れ体制、援助効果等につき審査し、実施の可否等につき政府部内で検討した後、我が国政府としての決定を行う。
我が国政府として実施を決定した後、被援助国政府との間で、供与限度額、資機材の品目及び調達先等を定めた資金供与に関する交換公文の署名を行う。交換公文署名後は、被援助国政府が行う資機材調達のため日本企業による一般競争入札により落札業者が決定され、被援助国政府は落札業者との間で調達に係る契約書を締結する(契約締結に先立ち、外務省は契約書の認証を行う)。業者が右契約書に基づき資機材を船積みした後、資金は業者への支払いを可能にするよう指定銀行の被援助国口座に払い込まれる。交換公文の署名以後は、JICAが援助の実施促進のための支援業務を行う。また、97年度以降順次、被援助国政府による入札業務を補助すること等によって援助をより円滑かつ迅速に実施できるよう被援助国政府がJICAの推薦する第三者機関((財)日本国際協力システム(JICS))を活用するとの調達監理制度を導入してきており、99年度にはほぼ全ての被援助国について当該制度が導入された。
なお、被援助国政府は、我が国が援助資金(外貨)を供与することにより生じる内貨の余剰のうち一定額を内貨立ての銀行口座に積み立てることとしている(見返り資金)。被援助国政府は、在外公館を通じて我が国と使途につき協議の上、見返り資金を経済・社会開発に資する事業や物資の調達等に使用することができる。
2000年度は、43か国に対し計202億2千万円(予算ベース、以下同じ)の食糧増産援助を実施。
2000年度の食糧増産援助のうち、最大の対象地域は食糧不足が深刻な問題となっているアフリカであり、具体的には18か国に対し、68億3千万円を供与している。アフリカに次いで大きな対象地域はアジアで、6か国、49億5千万円となっている。その他98年のハリケーンの被害からの復興に努めている中南米が、9か国、38億3千万円、東欧・中央アジアが8か国、32億4千万円、中近東が2か国、13億7千万円となっている。
●「我が国の政府開発援助(外務省経済協力局編(財)国際協力推進協会発行)」
ODAを取り巻く最近の議論の動向、日本の援助活動の概要について取りまとめている。
●「Japan's Official Development Assistance Annual Report」上記の英語版(内容は要約)。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/