ODA評価 年次報告2019
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16 環境分野におけるラテンアメリカ地域開発支援は、計画時及び事後評価時双方において、日墨両国の上位政策と高く一致している。メキシコにおいては、国際開発協力法(2012年)及び国家開発計画(2013〜2018年)等と一致している。環境分野における第三国研修を通じ、メキシコの国際協力関連機関の能力を強化することは、日本のODA政策と高レベルで一致している。また、AMEXCID及び研修実施機関に関するメキシコの規則もまた地域協力強化及び三角協力の推進を通じた国際協力の重要性を確認した。(2) 結果の有効性 第三国研修の終了時において、第三国研修ごとに設定された目標の大部分は達成されており、各目標の有効性は高かった。 多数の参加機関が自国において、第三国研修で得られたアクションプランの結果として、パイロットプロジェクトを実施したことが確認された。また、このプロセスを通じ第三国研修から得られた知識と技術が普及し、受益機関の組織能力の向上にも貢献した。 AMEXCID及びメキシコ実施機関の能力は、第三国研修実施により強化された。JMPPの調整機関であるAMEXCIDは、メキシコ側関係機関を技術面及び財政面の両面から更なる支援を行うことが可能となった。(3) プロセスの適切性 JMPP計画委員会によるハイレベルの意思決定プロセスは、JMPPの強みとして認識されている。更に、JMPPの第三国研修は、実施メカニズムや運用が確立されておりメキシコにおける最も先進的な国際協力スキームの一つであることが確認された。 受益国のニーズを特定するための計画段階における活動は、JMPPアプローチの比較優位性を高める重要な要素であり、その中で、JICAの役割、特にJICAの地域ネットワークと技術支援は、AMEXCIDとメキシコ実施機関により高く評価された。 モニタリングとフォローアップメカニズムに関しては、制度的なフォローアップの提供の必要性が強調され、その有効性は受益国及びメキシコ実施機関によって高く認識された。しかしながら、評価時点においては、モニタリング活動は、第三国研修プロセスにおいて体系化されていない。 提言(1)第三国研修の受益者の戦略的選択プロセスの強化(2)第三国研修の有効性を高めるための第三国研修実施枠組みにおけるモニタリング及び評価メカニズムの強化・集中(3)更なる効果を生むための第三国研修達成に対する持続的支援(4)JMPPが比較優位を持つ環境分野の第三国研修を含む三角協力の更なる発展(5)AMEXCIDの調整機能の更なる強化及び拡大(6)JMPPの認知度の向上、宣伝活動の強化日本の貢献ODA評価ワークショップの開催「第16回ODA評価ワークショップ参加者」 2000年の経済協力開発機構開発援助委員会(OECD/DAC)評価部会において、開発途上国の評価能力の育成の必要性が指摘されたことを受け、外務省は2001年から毎年アジア太平洋諸国の評価能力構築を目的とした「ODA評価ワークショップ」を実施してきています。そこでは、各国における評価能力向上の具体的取組や開発途上国とドナーによるODAの合同評価などについて、情報共有や意見交換が行われてきました。 昨今は、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が掲げた「持続可能な開発目標(SDGs)」の時代に適合した評価のあり方も議論されています。2019年1月にタイ外務省国際協力機構との共催で実施した第16回ODA評価ワークショップは、SDGs時代における評価能力開発と説明責任に向けた知見を共有する機会となりました。 また、OECD/DAC事務局の評価担当課長を招き、参加者との間で有意義な意見交換を行いました。

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