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「きれいな水を人々へ」イニシアティブ
~ヨハネスブルグ・サミット以降の進展と成果~
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ヨハネスブルグで開催された「持続可能な開発に関する世界首脳会議」中、2002年9月4日に、コーリン・パウエル国務長官と川口外務大臣は、「きれいな水を人々へ」イニシアティブについて記者会見を行った。
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2002年9月、ヨハネスブルグで開催された「持続可能な開発に関する世界首脳会議」において、日本と米国は、安全な水と衛生を世界の貧しい人々に提供し、流域管理を改善し、水の生産性を向上させるための共同の取組みである「きれいな水を人々へ」イニシアティブを発表した。このイニシアティブは、2001年6月、小泉首相とブッシュ大統領により発表された「安全と繁栄のための日米パートナーシップ」の一環として策定されたものである。日本と米国は、両国の努力の効率性と相乗効果を最大化させることを目的として、両国の協力を強化し、共同であるいは並行的に事業を実施する。水管理プロジェクトは、途上国におけるきれいな飲料水の入手可能性を高め、海岸及び河川流域における水システムの持続可能な管理を強化するものである。このパートナーシップは、2015年までに「安全な飲料水を利用できない人々の割合」及び「基本的な衛生を利用できない人々の割合」を半減することを含む国連ミレニアム開発目標やヨハネスブルグ・サミットの実施計画を達成するための国際的な努力を加速、拡大するものである。このイニシアティブは、途上国、地域、国際機関及び市民社会のパートナーを含む全ての国に開かれたものである。
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日米協力は、西アフリカにおける水供給と衛生へのアクセスの改善により、多くの人々の生活水準を高める。
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第3回世界水フォーラムまでの一連の動き
以下の一連の動きは、途上国、特にアジア及びアフリカにおける将来的に協力の可能性がある取組みについて、現在までの進展をたどったものである。
●イニシアティブの発表
2002年9月、日本と米国は、ヨハネスブルグで開催された「持続可能な開発に関する世界首脳会議」において、「きれいな水を人々へ」イニシアティブを共同発表した。このイニシアティブは、途上国の水資源管理における日本と米国の以下の取組みを基礎とするものである。
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米国は、水と衛生へのアクセスを改善し、流域管理及び適切な衛生事業を促進するとともに、水の生産性を向上させるために、今後3年間にわたり9.7億ドル以上を提供する。米国は、無償の支援に加え、水事業への民間投資を奨励するために、現地通貨での投資保証を供与する。こうした活動には、「西アフリカ水イニシアティブ」、「コミュニティ水・衛生ファシリティー」、「開発信用制度」プログラムが含まれる。 |
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日本は、この5年間で4,000万人以上の人々に対し安全な飲料水及び衛生へのアクセスを提供してきた。こうした努力を今後とも続けていく。日本のイニシアティブは、安全かつ安定的な水及び衛生的な下水道へのアクセスを改善することを目的としている。日本は、この目的のために、地方自治体、NGO及び民間部門と緊密に協力しつつ、無償資金協力、有償資金協力及び技術協力を実施する。
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日米のイニシアティブにより、ガーナ、マリ、ニジェールにおいて、現在行われている水供給、井戸掘削プロジェクトについて協力し、効率性を最大化し、相乗効果を生み出すことが可能となる。

「きれいな水を人々へ」イニシアティブにより、数多くの人々が安全な水供給の提供により恩恵を受けることになる。
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●パートナーシップの進展
日本と米国の代表は、様々なレベルにおいて、パートナーシップ進展の方策を協議し、水分野における協力の対象国や地域、分野を特定するために会合を行った。これらの政策対話に加え、西アフリカにおけるニーズに対応するための以下の取組みが、両国によって実施された。
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「西アフリカ水イニシアティブ」パートナー会合(於ワシントンDC) 米国からの招待を受け、日本は、2002年12月30日に「西アフリカ水イニシアティブ」パートナー会合に出席した。 |
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ガーナでの日米合同の現地視察 2003年1月に、在ガーナ日本大使館とJICA事務所の代表が在ガーナUSAID事務所とUSAID本部職員と共に、北部にあるJICAとワールド・ビジョンの事業現場を訪問した。この視察は、西アフリカの貧困層の多くの人々に水供給と衛生を提供する「西アフリカ水イニシアティブ」パートナーシップの可能性に焦点をあてた。
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セネガルでの日米合同の現地視察 同じく1月に、USAID、在セネガル日本大使館とJICAの職員が、水関連パートナーシップの可能性を探るために、日本とワールド・ビションの水関連の取組みを視察した。双方は、「西アフリカ水イニシアティブ」の一環としてマリ、あるいは水分野での新たな取組みとしてセネガルにて、「きれいな水を人々へ」イニシアティブの事業を実施するための方策の確保に取り組むことを約した。
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●開発信用制度セミナー(於バンコク)
2003年1月に、米国からの招待を受け、国際協力銀行(JBIC)の代表が、日米水協力に「開発信用制度」の仕組みを活用する可能性を探るために、バンコクにおける「USAID開発信用制度セミナー」に出席した。
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国家、地方レベルのガバナンスの政策とその実践を改善することにより、沿岸海域の持続可能な管理が促進される。それは、フィリピンとインドネシアの次世代の人々が漁業により生計を確保することの支援となる。
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イニシアティブの主要点:協力の候補国と分野の特定
●西アフリカ
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ガーナ、マリ、ニジェール、セネガルが、西アフリカにおける水分野での日米協力の最初の候補国として特定された。両国は、「西アフリカ水イニシアティブ」を核として水供給と衛生に重点を置く。米国は、NGO・民間団体、その他のパートナーとの緊密な協力の下、「西アフリカ水イニシアティブ」を実施する。日本は、小規模無償を活用してNGOへの支援を行っていく。また、日本は、水供給プロジェクトを策定するための調査団をマリとニジェールに派遣し、その成果を米国と共有する。 |
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日本は、カーター・センターとの緊密な協力の下、西アフリカにおけるギニア・ウォーム(メジナ虫)撲滅のための活動を推進する。 |
●アジア
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日本と米国は、アジアにおいて、水供給と衛生、飲料水の砒素汚染防止、海岸管理への取組みに努力の重点を置く。 |
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日本は、フィリピンとインドネシアにおいて、島嶼州を含め、数々の水供給と衛生のプロジェクトを実施している。また、都市部では洪水制御プロジェクト、主として農村地域では灌漑プロジェクトも実施している。日本は、特に島嶼州において、水供給と衛生施設を含む小規模なコミュニティ基盤整備を支援する。米国は、同地域において海岸管理プロジェクトを実施する。
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バングラデシュが日本と米国の協力のもう一つの対象国とされた。バングラデシュでは、米国は地下水の砒素汚染についての地質調査を行う。日本とユニセフは、地下水による飲料水の砒素汚染に取り組むために協力する。
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●借款と投資保証の連携の可能性
国際協力銀行(JBIC)の円借款とUSAIDの「開発信用制度」の間の連携の可能性について見極める目的で、日本と米国は試行的に、アジア及び他の地域において複数の国を特定するための協議を行う。
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