用語集「持続可能な開発」早わかり
とかく専門用語が飛び交う世界。しかし、ここにあげた単語さえ押さえておけば、この夏のヨハネスブルグ・サミットはフォローできます
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五十音順
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●持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)(ヨハネスブルグ・サミット)
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地球サミットから10年を経た2002年8月に南アフリカのヨハネスブルグで開催予定。「アジェンダ2」や「アジェンダ2の一層の実施のための計画」が包括的に見直され、策定後の成果やさらなる努力が必要とされる分野が検証されるほか、グローバリゼーションの進展や情報通信技術の発達などを踏まえた国際社会が直面している新たな挑戦や機会についても議論される予定。
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●国連環境開発会議(UNCED、地球サミット・リオサミット)
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ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで1992年6月に開催。環境と開発を包括的に扱った初めてのサミット。21世紀に向けての行動計画「アジェンダ2」等を採択。
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●国連環境開発特別総会(UNGASS、リオ+5)
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地球サミットから5年を経た1997年に開催。「アジェンダ21」など地球サミットの合意事項の実施状況を点検、今後の取り組むべき課題について議論し、「アジェンダ21の一層の実施のための計画」を採択
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●持続可能な開発
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「環境と開発に関する世界委員会」(委員長:ブルントラント・ノールウェー首相(当時))が1987年に公表した報告書「Our Common Future」の中心的な考え方として取り上げた概念で、将来の世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させるような開発をいうとされている。この概念は、環境と開発を互いに反するものではなく共存し得るものとしてとらえ、環境保全を考慮した節度ある開発が重要であるという考えに立つものである。
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●ヨハネスブルグ実施計画(世界実施文書)
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ヨハネスブルグ・サミットにて採択が予定されている「アジェンダ2」の実施を促進するための取り組みについての合意文書。
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●約束文書(パートナーシップ・イニシアティブ)(タイプ2)
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各国、各界関係主体による自主的かつ具体的なイニシアティブの提案・表明を記載した文書。世界実施文書や政治宣言のようなすべての国の合意を必要とせず、各国あるいは主体が表明したプロジェクトを掲載することとなっており、合意文書とはタイプが異なるという意味で「タイプ2」と呼ばれている。イニシアティブがまとめられ、サミットの際に発出される予定。
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●政治宣言
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持続可能な開発に向けた各国首脳の決意を示す文書。ヨハネスブルグ・サミットでの発出が予定されている。
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●アジェンダ21
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大気、森林、砂漠化、海洋、資金、技術移転、気候など経済、社会、環境に関する諸問題への取り組みを示した行動計画。92年の地球環境サミットの際に策定された。
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●持続可能な開発委員会(CSD)
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1992年の地球サミットで設置が決まった新しい国連組織。地球サミットの成果である「アジェンダ2」の実施進捗振りの監視及び見直しを行なうことなどが主な目的。国連経済社会理事会の下に設置されており、毎年春に総会が行なわれる。
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●ODAのGNP比0.7%目標
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先進国は、ODA拠出をGNPの0.7%にするという努力目標。1970年の国連総会で採択され、その後国連環境開発会議やモンテレイ開発資金国際会議などの国際会議の場でも繰り返し言及されている。
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●オーナーシップ・パートナーシップ
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96年に策定されたOECD/DAC(経済協力開発機構開発援助委員会)新開発戦略の基本となる考え方で、開発の実現のためには、途上国の自助努力、即ちオーナーシップ及び国際社会によるパートナーシップに基づく協力が必要だという考え方。
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●拡大HIPCイニシアティブ
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ケルン・サミットにおいて、重債務貧困国に対する「より早く」、「より深く」、「より広範な」債務救済を実現するためになされた適用対象国の拡大、債務救済額の増加、債務救済の前倒し実施等を内容とする合意。
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●重債務貧困国(HIPCs)
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IMF及び世銀によって認定された世界で最も貧しく最も重い債務を負っている開発途上国(42カ国)(2002年6月現在)
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●共通だが差異のある責任
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地球環境問題は全人類的な課題であるが、その原因の大きな部分が主要国にある場合には、問題に対する責任を先進国と途上国が共通に負うが、両者に程度の差を認めるという考え方。
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●京都議定書
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地球温暖化に対処するための国際的な枠組みを定めた気候変動枠組条約の目的を達成するため、1997年に京都で開催された気候変動枠組条約第三回締約国会議(COP3)で採択された議定書で、先進国等が全体で温室効果ガスの総排出量を2008~12年に1990年に比し5%削減することなどを定めている。日本は6%。
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●クリーンエネルギー
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太陽、風力、水力バイオ等環境負荷が小さいエネルギー源。
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●グローバル・シェアリング
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日本がWSSDに向けて打ち出している考え方。持続可能な開発の実現のために地球規模で、戦略、責任、経験、情報を共有しようという考え方。
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●ミレニアム開発目標(MDGs)
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1990年代に国連、OECD、IMF、世銀が策定した開発に関する国際目標を取りまとめたもので、2000年の国連ミレニアム総会で採択された国連ミレニアム宣言に盛り込まれた。2015年までに極度の貧困状態にある人々の数を1990年の半分の水準まで減少させる、2015年までに小学校就学率を100%にするなどが含まれる。
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●国際環境自治体協議会(ICLEI)
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環境保全を目指す地方自治体のための国際ネットワークとして設置された団体。
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●国際熱帯木材機関(ITTO)
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熱帯木材に関する生産国と消費国との間の国際協力の枠組みを確立することを目的として採択された「国際熱帯木材協定」を運用する機関。横浜に本部がある。
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●サイド・イベント
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最近の国連などの会議の際に、会期中付近の会場で政府、国際機関、地方自治体、NGO等が主催する関連の展示会、講演等の催し。
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●循環型社会
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廃棄物の発生の抑制や資源の循環利用(再使用、再生利用、熱回収)の促進などにより、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷が低減される社会。
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●生物多様性
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地球上の様々な生命体とそれが織りなす自然の形を指す。陸上生態系、海洋その他の水界生態系、これらが複合した生態系その他の生息又は生育の場いかんを問わず、すべての生物の変異性をいうもので、種内の多様性、種間の多様性及び生態系の多様性を含む。生物多様性は生命が地球に誕生してからの約40億年に及ぶ進化の過程を示し、生物圏における生命保持のため極めて重要な役割を果たす。生物多様性を包括的に保全し、生物資源の持続可能な利用を目的とした国際的枠組みとして「生物の多様性に関する条約(生物多様性条約)」がある(93年発効、日本同年締結)。
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●地球環境ファシリティー(GEF)
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1992年の地球サミットで設置が決まったもので、開発途上国の地球環境保全を支援するために、途上国及び市場経済移行国に無償資金を供与する多国間援助の仕組み。世界銀行、国連環境計画(UNEP)、国連開発計画(UNDP)によって共同運営されている
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●ドーハ閣僚宣言
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2001年10月にバーレーンのドーハで開催されたWTO第四回閣僚会議で出された宣言。
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●21世紀に向けた環境開発支援構想(ISD)
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1997年の国連環境開発特別総会で日本が、大気汚染、地球温暖化、自然環境保全など多岐にわたる環境分野でODAを中心とした国際協力のさらなる充実を図るため発表した構想。人類の安全保障、自助努力、持続可能な開発を基本理念とする。
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●マルチ・ステーク・ホルダー
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政府、国際機関、地方自治体、NGOなど「持続可能な開発問題」に携わるさまざまな主体。
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●モンテレイ合意
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2002年3月にメキシコのモンテレイで行なわれた国連開発資金国際会議でなされた合意。
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●予防的アプローチ
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地球環境問題は、科学的な不確実性が大きい一方で、放置すると取り返しのつかない重大な問題になりかねないことから、「重大かつ不可逆的な影響があると認められる問題については、不確実性があることを費用対効果の高い対策の実施を延期する理由としてはならない」という考え方に基づいて対応をはかること。
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