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2002年8月27日
このパートナーシップの目的は、今回のWSSDの期待される成果の一つである、パートナーシップ・イニシアティブ(約束文書)に寄与するためであり、同時にその実施主体であるマルチ・ステークホルダー間の対話をすすめ、違いと共通点を明らかにすることにある。 3時間のセッションは、前半の討議と後半の意見表明に分けられ、前半部分はプロンクWSSD特別大使(前オランダ環境大臣)がモデレーターとなって論点を絞って意見をたたかわせ、後半部分は主には政府代表による一方的意見表明であった。 席の配置は発言者がお互いに顔を見ながら意見交換できるようにしてあり、全体会議が行われるパビリオンという大きな部屋の前方に三角形に、一辺に9人ずつ合計18人座れるようにしつらえてあった。モデレーターのプロンク氏は、スポーツ中継のアナウンサーのようにヘッドマイクをつけて、その三角形の間に立ち周囲に座っている発言者に発言を求めるというもので、非常にダイナミックであった。発言者は9つの主要グループおよび国連機関の代表である。また、部屋の配置は、前方には、主要グループの支援席があり、政府代表団席はその後方、さらに最後尾に一般のオブザーバー席があった。 モデレーターのプロンク氏は、まず、10年後今より持続可能な発展を進めるためには科学技術は何ができるか、との問いから始め、ではその科学技術や情報へのアクセスに遠い人たちにはどうすればよいか、先住民の知識は現代科学技術などと聞いていった。そして、徐々に、質問を変えながら、持続可能な消費と生産、貿易、技術移転、資金へのシフトしていった。そのなかで、例えば、このWSSDで論議の的になっている企業の社会的責任に関し、ユース代表が政府は多国籍企業に支配されていると言うと、すかさず、産業界代表に対し、それについて意見を求めるというように、非常に核心をついた質問をして意見の違いを際立たせようとしていた。もとよりこれは結論を出す会議ではないが、多様なマルチ・ステークホルダー間の意見を明らかにようという司会と、質問に答えながらも、議論を自分たちの言いたいことに向けようとする討論者の駆け引きはなかなか興味深いものであった。 意見交換の部の最後に、プロンク氏は(1)持続可能な消費と生産を進めるために政府は何をしようとしているのか、(2)グローバリゼーションを持続可能な発展に役立つようにするために政府は何をしようとしているのか答えてほしい、として、後半の政府の発言に移った。しかし、政府代表の発言の多くは用意されたペーパーを読むもので、この全体会議の意図を理解していないか、していても無視したかどちらかであった。日本政府からは浅貝大使が発言されるべく順番を待っておられたが、それぞれ2分の制限時間を超えて発言したため、予定が大幅に遅れ、終了時刻の6時にはまだその順番が来ず、筆者はその前に次の会合に呼ばれたので退席を余儀なくされ、何を話されたか聞くことはできなかった。 全体会議場の政府代表団席は各国一様に4席あり、前2席は机とマイクがあり、後2席はただ椅子があるだけである。むろん、顧問は後の席である。今回、代表団席に座らせていただいたが、実は前の椅子の背もたれが高くその陰になったので、前方両脇にしつらえてあるスクリーンを見るためにも、体と首を斜めにしなければならず、その上椅子は高くて足が届かない姿勢で3時間も座っていることを余儀なくされ、代表団席に座るのは楽ではないと実感した。なお、このセッションはNGOも自由に入れるものであったが、この成果が交渉に反映されるものではないため、席はがらがらであった。 WSSD政府代表団顧問 織田由紀子 |
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