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WSSDに参加して

2002年8月29日

連合副事務局長 村上忠行
連合副事務局長 村上忠行
 ヨハネスブルクには8月23日早朝に到着した。香港経由で20時間弱の旅であった。そのまま、国際自由労連(ICFTU)のWSSD労働サミットに出席した。この会議は、23日から28日の日程で、国連やNGO主催の会議と平行して開催された。会議では、リオ・サミットで採択された「アジェンダ21」をうけて、これまでの10年の労働組合としての取り組みや今回のヨハネスブルク・サミットに対するICFTUの対応などを議論するために開かれたものである。

 具体的な内容は、持続可能な開発の達成を前提に、雇用の確保問題、児童労働問題、職場における安全衛生の確保問題、建設・木材・森林問題、水問題、企業の社会的責任問題など、多岐にわたるテーマについて、世界各国の現状を報告しあいながら、これから10年の取り組みをめぐって議論している。

 連合の労働サミットへの参加にあたっての基本的立場は、環境問題については98年から取り組んでいる大量性生産ー大量消費のライフスタイルの見直しのための「連合エコライフ21」運動の世界的取り組みを要請すること。また、ヨハネスブルク・サミットで採択される共同実施計画の中に、社会的責任の強化、貧困からの解放のための労働の場の確保、よりよい労働を実現するためのILO労働基準遵守、労働組合のあらゆる場への参加などを明文化させることをICFTUと協力して取り組むことである。

 労働サミット会場は、ヨハネスブルグのベレア地区、すでにスラム化が進んでいるダウンタウンの真ん中にあるペレトン・ホテルである。夜ともなれば、発砲の音も聞え、市民もこの地区には近づかないと言われる所である。あえてこうした場所を選んだICFTUの意図は、アフリカと南アフリカの現実と貧困の実態を実感し、それをなくすための強い意志を示すものとして同感できるものである。

 しかし、要は結果である。リオ・サミットで決定した「アジェンダ21」のほとんどが実現していないこの10年の反省にたって、これからの10年は作文ではなく実行と成果が問われる。そのことを世界の労働組合の仲間と確認し、前進したいと思っている。

 また、今回のヨハネス・サミットで評価できることは、日本政府が政府代表団の一員としてNGO代表を顧問として参加させたことである。連合はこれまで、度々このような国際会議を成功させるためには、NGOが政府の中に入り活動することが重要であるとして参加を求めて来たことが実現できたことである。

 これからの10年、世界はどのように変貌していくのだろうか。
誰も予測できないかもしれないが、人々の意志によってそれは変えられるはずである。

 連合は、あらゆる人々と連携し、よりよい世界を作るため今後とも貢献したいと考えている。

 いま、ヨハネスブルグのダウンタウンの現実がつきつける問題は重い。この街が捨てられ、スラム化がより進行することなく、住民一人ひとりが、希望を持ってヨハネスブルグの再建に立ち上がり、再びかつての活力を取り戻すことが今回のサミットを契機にできれば、そのことが世界に希望をもたらすことになるだろう。そのことを願ってやまない。

 WSSD政府代表団顧問 村上忠行(連合副事務局長)


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