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琵琶湖からの発信を「世界の水のアクション」へ

2002年8月30日

湖沼セッションでのプレゼンテーション
湖沼セッションでのプレゼンテーション
 今回のサミットは、日本では「環境サミット」という印象が持たれていますが、正式には「持続可能な開発サミット」です。会議も文字通り先進国と開発途上国が互いに現状をふまえながら、いかに持続可能な開発・発展を進めるか、活発な議論が続いています。広大な赤土の上につくられ豊かな自然に恵まれながら、様々な悩みを抱える南アフリカは、このテーマにはもっともふさわしい国の一つであろうと思います。

 そんな中で、日本からの代表団は、日本からの発信を大事にしようという思いが強く、大勢のメンバーが参加しています。また、この「持続可能な開発・発展」というテーマは、政府だけに任せておけないとあって、NGOや地方公共団体などが参加し、実に幅広い会議となっています。これに民族色の強いお祭りの要素も加わって盛り上がっているのも面白く感じられます。

 滋賀県では、今回のサミットで、琵琶湖での水にまつわる様々な体験をもとに具体的な提案をしようと、パラレルイベントの一つとして、国際環境自治体協議会(ICLEI)、国連環境計画(UNEP)、国際湖沼環境委員会(ILEC)、世界水パートナーシップ(GWP)、リビングレイクス、レイクネットなどの協力で、「世界の湖沼保全に向けて」と題してセッションを開きました。

湖沼セッションの会場
全体会合「水と衛生」で
 滋賀県が抱える日本一の湖・琵琶湖は、世界でもっとも古い湖の一つであり、また近畿1400万 の水源でもあります。1400万人といえば、ヨーロッパではデンマークとスウェーデンの2カ国の人口にも匹敵し、琵琶湖を預かる私たちの責任はまさに重大と思っています。滋賀県では、日本で初めてリン入り合成洗剤を規制する条例を制定するなど、湖の保全に重点的にとりくんできました。その中で、湖の問題は世界の同じような問題を抱える人々とともに手を携えて進める必要がある、という考えから、1984年に第1回世界湖沼会議を開催しましたが、この会議は世界各地で受け継がれて開かれ、昨年は17年ぶりに第9回の世界湖沼会議を再び滋賀で開催することができました。さらに、滋賀県琵琶湖研究所の設立、ILECの設立など、世界との連携を進めてきています。

 28日のサミット全体会合では、「水と衛生」をテーマに全体会合が開かれ、私も代表として、石川大使とともに参加させていただきました。水は生命の源であり、開発途上国での安全な水供給が極めて大きな問題であるだけに、その費用負担のあり方など活発な議論がなされましたが、つまるところ、水の重要性、それも衛生問題としての再認識と、関係者全体の共同の取り組みが求められている、ということと思います。

湖沼セッションの風景
湖沼セッションの風景で
 この前日、27日のパラレルイベントの湖沼セッションでは、世界各地の湖沼に関わる地方政府やNGOの方々はもちろん、翌日の「水と衛生」全体会合のスピーカーでもあったGWPのマーガレット・カールソン会長などもご参加いただき、世界湖沼ビジョンの案について、熱心な討議が行われました。その中で、湖の関係者の連帯の重要性とともに、さらに流域管理や水資源管理といった、より幅広い分野の関係者と連携していく必要がある、といった貴重な意見が出されました。

 これを皮切りにインターネットやさまざまな会合などでの意見が、ビジョンの案に反映され、来年3月琵琶湖・淀川流域で開催される第3回世界水フォーラムで採択されることを期待しています。 このような湖の健全な管理という地域レベルの水へのアクションの発信によって、世界の持続可能な開発・発展のための水へのアクションへと、取り組みの環が広がっていくことを願っています。

 WSSD政府代表団顧問 國松善次(滋賀県知事)


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