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地球環境


小泉構想
(「持続可能な開発」のための日本政府の具体的行動
-地球規模の共有(Global Sharing)を目指して-)

平成14年8月21日

【目次】

1.基本的考え方

2.重点分野と具体的な取組

(1) 人間と希望(人づくり)
(イ)人への投資
(ロ)知識
(ハ)科学技術

(2) 自立と連帯(Ownership and Solidarity)-開発-
(イ)貿易・投資
(ロ)エネルギー
(ハ)農業・食糧
(ニ)援助
(ホ)アフリカ

(3) 今日と明日(Today's complacency, Tomorrow's plight)-環境-
(イ)環境関連途上国支援
(ロ)気候変動
(ハ)森林
(ニ)生物多様性
(ホ)水
(へ)環境関連条約


1.基本的考え方

持続可能な開発の実現のためには開発と環境保護をともに達成する必要。

全ての国・主体が、認識、戦略、責任、経験・情報を分かち合うべき。

「グローバル・シェアリング(地球規模の共有)」(対等なパートナーシップ)
 その上で、ミレニアム開発目標の達成に向けて、既存の合意(ドーハ、モンテレ-等)の実施のため具体的行動を積み重ねることが重要。

日本は、途上国の自助努力(オーナーシップ)を支援するため、国際社会のパートナーシップの拡充を図りつつ、以下の具体的な支援を実施。


2.重点分野と具体的な取組

(注) 日本独自のイニシアティヴ:◎新規、●継続
パートナーシップに基づく取組:☆(新規)

(1) 人間と希望(人づくり)

 持続可能な開発のためには、良い統治の下、市井の人々が希望(hope)を持ってその能力を最大限発揮することが不可欠。

そのためには、「人づくり」(教育、保健、ジェンダー)が重要。人への投資と知識・技術の共有が鍵。

(イ) 人への投資:「人づくりは国造りの基礎」

-教育

 ◎ 「持続可能な開発のための教育の10年」を提唱。

 ● 低所得国に対し教育分野において今後5年間で2500億円(約20億ドル)以上の支援を実施。基礎教育分野では、「成長のための基礎教育イニシアティヴ(BEGIN)」を推進(女子教育、教員養成訓練への支援、理数科教育支援等)。

-保健

 ● 2000年から5年間で30億ドルの感染症対策イニシアティヴを着実に実施。

(ロ) 知識

 ◎ 日本における悲惨な公害とその克服の経験、日本と他のアジア諸国との協力の成功例等をアフリカ等他の地域と共有。

 ☆ 東アジア開発イニシアティヴ(IDEA)を推進し、東アジアの開発経験を他の諸国・地域と共有。

(ハ) 科学技術:開発と環境保護をともに達成するための突破口(breakthrough)

 ☆ 地球観測・地球地図の活用を通じた地球環境のモニタリングを推進。

 ☆ 環境科学技術協力の実施。

(2) 自立と連帯(Ownership and Solidarity)-開発-

 途上国の自立的な成長を通じて、持続可能な開発と貧困削減の促進を図る(自立)ことが必要。そのために幅広い資源(resource)を動員(連帯)。

(イ) 貿易・投資:「持続可能な開発」の実現のために、貿易、民間投資を促進(日本の途上国からの輸入額は、年間約1500億ドルに達している)。

 ◎ JICA等による貿易関連人材育成の支援を拡充。
(ジュネーブでのWTOとの共催セミナーの実施。UNCTADXで表明したイニシアティヴ「2000年度から5年間で2500人」を「4500人」に拡充(AOTSによるものも含む。)

 ● 全てのLDC(後発開発途上国)産品に対する無税無枠の市場アクセス供与に向けて努力。
(明年度の関税改正に向けて無税品目の追加について具体的な措置内容を早急に検討。)

 ◎ 多角的投資規律の策定に向けた努力。
(多角的投資規律の策定は、途上国への投資増大に向けた国際的な環境整備として重要。日本はその策定を主導。)

 ◎ アフリカの多角的貿易体制(WTO)への参画促進
(アフリカ諸国が「アフリカ連合(AU)」を通じて地域統合を進展させる意向を表明していることを歓迎し、キャパシティ・ビルディング等技術支援を通じ日本としてかかる統合を支援し、アフリカの多角的貿易体制(WTO)への更なる参画を促す。)

(ロ) エネルギー:経済活動の基礎であるが、限られたエネルギー資源の効率的且つ環境と調和のとれた形での利用を推進。

 ● 9月下旬に大阪で国際エネルギー・フォーラムを開催(エネルギー生産国と消費国との対話を促進。)

 ☆ エネルギー理解促進イニシアティヴ(Energy Literacy Initiative)を提唱・推進。

(ハ) 農業・食糧:緑の技術革新を通じた食料安全保障に貢献。

 ● ネリカ米(New Rice for Africa)の開発・普及を推進。

 ◎ 南部アフリカの食糧危機に対する約3000万ドルの食糧支援を実施。

(ニ) 援助:日本は過去10年に亘り、世界最大の援助国としてDAC諸国によるODAの5分の1にあたる約1200億ドルを一国で供与。また、拡大HIPCイニシアティヴにおけるG8負担分の約4分の1に上る48億ドルの貢献を実施。今後も効果的・効率的な実施を心がけながら、最大級のドナーとして積極的な役割を果たす。(注:1960年代にアフリカより貧しかった東アジア、東南アジアの国が急速に成長。)

(ホ) アフリカ:「アフリカ問題の解決なくして21世紀の世界の安定と繁栄なし。」自助努力(オーナーシップ)の発露であるNEPADを支持。

 ● 対アフリカ支援策「日本とアフリカとの連帯-具体的行動-」を着実に実施し、「G8アフリカ行動計画」のフォローアップに努力

 ◎ TICADIIIの開催を通じて支援を更に強化。

(3) 今日と明日(Today's complacency, Tomorrow's plight)-環境-

 人類存立の基盤を脅かす地球環境破壊の問題に今日取り組まなければ、21世紀は暗い世紀となる。

(イ) 環境関連途上国支援:地球環境問題に取り組むため、環境分野での人づくりを含め、ODAを中心とした環境協力を更に充実。

 ◎ 「持続可能な開発のための環境保全イニシアティヴ(EcoISD)(概要本文)」を策定・公表。

 ◎ 2002年度から5年間で5000人の環境関連人材育成を実施。

 ● 2005年に「自然の叡智」をテーマとする「愛・地球博」を開催

(ロ) 気候変動:地球温暖化対策の実効性確保のために、途上国を含む全ての国が参加する共通のルールの構築が重要。

 ◎ 京都議定書の速やかな発効を目指した働きかけを積極的にリード。
(日本は6月4日に京都議定書を締結)

 ☆ CDM(クリーン開発メカニズム)推進のための人材育成や情報の共有を実施。

(ハ) 森林:森林の有する多面的な便益(生態系の維持保存、地球温暖化防止、水源の涵養、木材生産等)を踏まえ、違法伐採問題への取組を含め、森林の持続可能な経営を促進。

 ☆ アジア森林パートナーシップを提唱・推進。

 ☆ コンゴ川流域における森林保全等のための取組に協力。

(ニ) 生物多様性:絶滅の危機に瀕する生物種の保護や地域の重要生態系の保全を通じて、自然環境の有する恵みの享受に貢献。

 ☆ 重要生態系(ホットスポット)の保全への取組を積極化。

 ● 生物多様性条約「生物の安全性に関するカルタヘナ議定書」の早期締結に努力。

(ホ) :飲用水、公衆衛生、農業、経済活動、自然環境の保護、防災等の様々な観点から水の問題に積極的に対処。

 ◎ 安全かつ安定的な水供給、衛生施設整備を支援。
(過去5年間で4000万人以上に対して安全且つ安定的な飲用水の提供及び衛生的な下水道の普及を支援しており、今後ともこのような努力を行う方針。また、地下水をはじめとして水資源開発をモデル事業として推進し、周辺国への普及を促す。)

 ◎ NGO、女性との連携を強化。
(適正な水資源管理のための能力構築支援(NGOとの連携による維持管理、住民による運営体制の確立、女性の役割にも配慮した技術協力の推進)等)

 ◎ 2003年3月、第3回世界水フォーラムと閣僚級国際会議を開催

(ヘ) 環境関連条約

 ◎ 残留性有機汚染物質規制条約(POPs条約)の速やかな発効を目指した働きかけを積極的にリード。

 ● 特定有害化学物質等の国際貿易の際の事前同意手続に関するロッテルダム条約(PIC条約)の早期締結に努力。


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