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持続可能な開発に関する世界首脳会議第3回準備会合
概要と評価

平成14年4月5日

概要

 持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグ・サミット)第3回準備会合が3月25日から4月5日までニューヨークで開催された。今次会合では、ヨハネスブルグ・サミットで採択される「世界実施文書」の素案である議長ペーパーに対する各国コメントを盛り込んだ「編集文書」が第1週目の最後に事務局から提出され、第2週目に入るとこれを基に本格的議論が展開された。今次会期内に関連文書の一読を一応終えた。また、幅広いパートナーシップの履行を集大成した「約束文書」に盛り込むべきプログラムのための基準が公表された。
 具体的争点としては、主に途上国が主張している貧困撲滅のための基金の設置の可否、持続可能な開発のための新たな組織的手当の是非等をめぐる「エネルギー」、京都議定書の扱いや温暖化対策のアプローチを巡る「気候変動」、公海における水産資源の配分や保護区の設定等の「海洋」、ODA目標を含む「資金」、途上国産品のマーケットアクセスや補助金等の「貿易」の問題が挙げられる。特に、資金及び貿易関連では、ミレニアム開発目標(MDGs)、開発資金会議結果(モンテレー・コンセンサス)及び第4回WTO閣僚宣言(ドーハ宣言)等の文書に盛られた合意を越える内容を議長ペーパーに挿入することを主張する国とそれに反対する国との間で、立場の相違が浮き彫りとなった。
 最終日に各国はサリム議長に対し、議長の責任において改訂議長ペーパーを作成する権限を与えた。同議長は、行動指向、コンセンサス指向、簡潔、重複排除を旨として議長案を提示する意向である。

評価

 ヨハネスブルグ・サミットの成果物となる「政治宣言」、「世界実施文書」及び「約束文書」のうち、後者の2文書の骨格が今次会合を通じてかなり浮かび上がってきた。

1.「世界実施文書」

 我が代表団は、それぞれの専門分野に応じ、米国、EU、G77と並んで会議の席での主要発言者であった。とりわけ、地球観測、地球地図、違法伐採問題、重要な生態系保護等日本が力点を置く主張の幾つかは議論の後、改訂議長ペーパーに盛り込まれるものと見られる。
 「世界実施文書」作成のための事務レベルでの作業は今次会合で終了すべきものと想定されていたものの、議長ペーパー及び「編集文書」につき各国がコメントを述べあっただけで会合が閉会したため、今後、改訂議長ペーパー案の提示後、参加国間のせめぎ合いが先鋭化する可能性がある。実質的な合意に向けての作業は、5月24日からバリで開催される第4回準備会合(閣僚級)が正念場となる。
 これに伴い、バリ会合は多大な課題を抱えることになった。バリ会合では、改訂議長ペーパーに基づき、最終文書たる「世界実施文書」を取り纏める必要があるのみならず、首脳間で採択予定の「政治宣言」についても取り纏め作業が開始される予定である。

2.「約束文書」

 今次会合では、米国、欧州の一部の国は積極的にサイド・イベントを進め、「約束文書」に盛り込まれるプロジェクトの形成に向けて準備を行った。
 日本としても、「約束文書」に盛り込まれるべき様々なパートナーシップ、具体的プロジェクトの形成に力を入れる必要がある。また、NGOや各種民間団体との協力も視野に入れ、次のバリ会合以降、サイド・イベントを出来るだけ幅広く実施すべく話し合いを進める必要がある。また、NGOを含む市民社会との連携を更に強化すると共に、国内においてヨハネスブルグ・サミット及びバリ会合についての広報活動を更に積極的に実施し、開発と環境への取り組みについて国民各層の理解と支持を深めていく必要がある。


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