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地球環境


持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグ・サミット)
第2回準備会合(1/28~2/8、於:NY)
概要と評価

平成14年2月13日

1.全体概要

(1) 今次会合は、1月28日から2月8日までニューヨークの国連本部開催され、持続可能な開発の更なる実施のため、サミットで議論されるテーマにつき、各国政府及びマルチステークホルダー(産業界、学界、自治体、NGO等の市民社会)が具体的な提案を出し合い、サミット準備委員会のサリム議長が各国政府及びステークホルダーからの提案を分野毎に整理した議長ペーパーを提示して閉会した。日本より、奥谷環境大臣政務官、赤阪在サンパウロ総領事(ヨハネスブルグ・サミット準備委員会副委員長)、小島環境省大臣官房審議官他が出席。

(2) サリム議長が会議最終日に提示した議長ペーパーは、サミット合意文書の基礎となるものであり、2002年3月の次回(第3回)準備会合において、その内容について政府 間の交渉が本格的に行われる。

(3) 日本は、今次会合において「環境と開発は両立できる」との基本的考え方の必要性を強く打ち出した上で、主要分野と考える(a)省エネ・循環型社会の形成、(b)革新的技術や地球観測・地球地図等の科学的知見の活用、(c)大都市問題への取組強化、(d)途上国への技術移転・人材育成、(e)環境教育の改善、(f)天然資源の持続可能な管理(持続可能な農業、森林経営、海洋資源管理)、(g)淡水資源管理、食料安全保障、感染症・防災への取組強化、(h)環境条約下での協力強化、(i)地域や準地域での取組強化、(j)市民社会との連携強化について提言を行った。
 具体的には、リサイクル等をベースにした社会の実現に向けた取組、衛星等を使った科学的データに基づく政策判断、TICAD(アフリカ開発会議)の開催、エイズ・結核・マラリア基金への拠出など日本の取組を紹介し、議長ペーパーに反映させることで、会議の議論を具体的な実施促進策に重点を置く方向に向かわせる役割を果たした。


2.各国の優先分野

(イ) EUは、エネルギー、海洋、水資源、グローバリゼーションへの対応、資金、予防原則等を挙げた。

(ロ) G77(途上国グループ)は、開発に重点を置き、貧困削減、グローバリゼーションへの対応(市場アクセス、ICT等)を柱に、防災、地球温暖化への対応・取組を要望。

(ハ) 米国は国内ガバナンスや科学的知見の活用、加・豪・NZは海洋を優先分野としていた。

(ニ) ノールウェー、韓国、スイスは、越境大気汚染や酸性雨への対応における地域協力の重要性を主張。


3.議長ペーパーの概要

(1) 次の分野をサミットで取り上げるべき主要テーマとして挙げ、分野毎に国際社会全体がとるべき行動を提言として取りまとめた。
 (a)貧困撲滅、(b)持続可能でない生産消費形態の変更、(c)経済・社会開発の基礎となる天然資源の保全と管理、(d)グローバル化している世界における持続可能な開発、(e)健康と持続可能な開発、(f)小島嶼開発途上国の持続可能な開発、(g)アフリカのための持続可能な開発イニシアティヴ、(h)実施手段(資金、貿易、技術移転、科学・教育、能力開発、意思決定のための情報)、(i)国・地域・国際レベルでの持続可能な開発のためのガバナンス強化(提言は第3回会合にて協議)

(2) 環境保全のみならず、貧困撲滅、グローバリゼーション、健康、水資源管理、防災など開発や社会問題が全面に出てきた。開発問題、特に貧困対策は3月の開発資金国際会議、6月の世界食糧サミット5年後会合、G8サミット、8月のヨハネスブルグ・サミットと2002年一連に続く国際会議における大きなテーマとなろう。


4.マルチステークホルダー会合・サイドイベント

(1) アジェンダ21における主要9グループ(産業界、女性、自治体、NGO等)からそれぞれの関心分野及び持続可能な開発への参加という二つのテーマについて意見発表が行われた。日本からは、GEA(地球環境行動会議)の愛知和男事務総局長(元環境庁長官)が2001年10月に東京で開催した地球環境警鐘会議の結果やインターネットを活用した世界のNGOネットワーク・プロジェクトについて発表した。

(2) 2003年3月に京都を中心に開催される「第3回世界水フォーラム」について、橋本龍太郎同フォーラム組織委員会共同議長(元総理)の基調講演及びブレインストーミングが開催され、多数の参加者の下、世界の水資源の現状や今後の国際的取組について、活発な意見交換が行われた。

(3) 政府は「持続可能な開発のための地球観測と地球地図」と題するサイドイベントを開催し、持続可能な開発に不可欠である地球観測や地球地図の重要性について、参加者との活発な意見交換を行った。


5.評 価

(1) 地域レベルでの準備会合を経て、今次準備会合からグローバル・レベルでの準備が本格化した。各国から多数のNGOが参加した第1週前半のマルチステークホルダー会合及びそれに続く政府間会合とも、連日熱気を帯びた提案が出され、サミットに向けて先進国、途上国双方の関心の高まりを感じさせた。これを契機に8月のサミットに向け、今後さらに世界的な議論の活発化が予想される。

(2) 今次会合において、今後の交渉の基礎となる「議長ペーパー」が提示されたことで、サミットの主要テーマが浮かび上がってきた。途上国側は、上記3.(2)のとおり、特に開発問題について関心を有しており、右問題が大きなテーマとなる可能性がある。3月の次回準備会合では実質的な交渉に移行し、本ペーパーの合意に向けての国際的な議論が概ね集約されると見込まれるところ、日本の主張が反映されるよう引き続き努力が必要である。

(3) 多くの国々が各々の優先分野における取組強化を強く訴えていたが、日本としては、まず「環境と開発は両立できる」との基本的考え方の必要性を強く打ち出すとともに、右を実現するための具体的提言を行った。サミットに向けた今後の議論においては、各主要テーマを束ねる基本コンセプトの明確化及び各提言の一層の具体化を図ることが重要になってくると思われる。

(4) 2002年5月にインドネシアで開催される閣僚級の第4回準備会合では、合意文書に加えてサミットで採択される「政治宣言」の要旨が討議される予定である。更に同会議 には多数のNGOのほか各国とも大代表団を派遣(米は150人を超える規模を予定)し、交渉に加えて各種サイドイベント等を準備している模様である。日本としても同会議には閣僚レベルの参加が是非とも不可欠と思われる。

(5) 準備の本格化に伴って、広範囲にわたる分野で日本としての積極的な対応を確保していくためには、国内におけるサミットに向けた体制づくり(政府内におけるハイ レベルでの準備体制、産業界、大学、地方自治体、NGO等のネットワーク強化)を整備する必要がある

(6) 今次会合においては、政府代表団が日本から参加したNGO及び海外のNGO双方と意見交換を行った。今後のサミット準備会合においても、こうしたNGOとの対話を通じて日本の考え方を伝えていくことが重要と考える。また、NGOも日本政府の持続可能な開発実現に関する活動に高い期待を寄せていることが感じられた。


目次


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