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地球環境


持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグ・サミット)
(アジア太平洋地域ハイレベル準備会合(11/27~11/29)於:プノンペン)
(概要と評価)

平成13年12月6日

1.全体概要

  • 標記会合(議長:モク・マレ・カンボジア環境大臣)は、11月27~29日、カンボディアのプノンペンで開催され、最終日に2002年9月の「持続可能な開発に関する世界首脳会議」(WSSD。通称「ヨハネスブルグ・サミット」)に向けたアジア・太平洋地域からのインプットとしての地域綱領(プラットホーム)を採択して閉会した。日本よりは、赤阪在サンパウロ総領事(WSSD準備委員会副議長)、浜中環境省地球環境審議官他が出席した。

  • 地域綱領は、アジア・太平洋地域のアジェンダ21の実施状況のレビュー、重要課題・優先的取組み課題、今後の行動等に関する文書である。本地域はアジアから太平洋地域にわたる広範な地域であり、自然条件、社会、文化等において多様性を有しており、内容についても広範な意見が出された。

  • 日本は、かっての深刻な公害を克服した経験を踏まえ、革新的技術の利用等により「環境保全と経済発展は両立できる」との基本的考え方の必要性を全面に出した上で、行動志向型の具体的な提言を行った。この結果、地域綱領には、省エネ・循環型社会の実現、革新的技術や衛星観測等の科学的知見の活用、大都市問題への取組強化、途上国への技術移転・人材育成、天然資源(農業、森林、水産)の持続可能な管理、水資源問題・公衆衛生(感染症問題に対する取組み)、環境条約下での協力強化、環境教育の改善、市民社会等との連携強化といった日本が主張した諸点が盛り込まれた。

  • なお、日本代表である赤阪サンパウロ総領事は、地域プラットホームの取りまとめに当たる非公式会合の議長を務めたが、同総領事の議長采配振りは各国から高い評価を受けた。また、本件会議開催に係る日本の財政的支援についても、主催者である国連ESCAPやカンボディア政府から謝意が表明された。


2.各論

 日本が主張し盛り込まれた主要な点は次のとおり。

(1) 省エネ・循環型社会の実現
 市場メカニズムの活用や環境産業の育成等を通じた省エネ・循環型社会形成の必要性。

(2) 科学的知見、科学技術の活用
 地球観測、地球地図等に係る協力の推進等により十分な情報を伴った意思決定が出来るような基盤を強化する必要性。

(3) 大都市問題への取組みの強化
 大気汚染防止、交通渋滞防止、水資源の確保、水害等の防災、公衆衛生の確保等の総合的な都市対策の必要性。

(4) 天然資源の持続可能な管理

(イ) 食料安全保障のための持続可能な農業 農業をどのようにして環境に調和した持続的なものにしていくかをみていく視点の重要性。
(ロ) 持続可能な森林経営 森林の持つ多面的機能の重要性に鑑み、持続可能な森林経営及びその阻害要因として深刻な問題となっている違法伐採対策を一層推進する必要性。
(ハ) 淡水資源 持続可能な水資源は人間の生存、健康、食料生産、生態系保全に不可欠なものであることに鑑み、限られた資源である水の有効活用についてグローバルレベルで真剣に検討すべき必要性。


(5) 環境教育の改善
 環境教育は特に重要であり、学校や企業における教育プログラムの充実を図る必要性。

(6) 感染症問題に対する取組み
 感染症問題は単に途上国住民の生命への脅威という保健上の問題にとどまらず、途上国の経済・社会開発の重大な阻害要因であるとの観点からの対策の必要性。


3.評価

(1) 革新的技術の利用等により「環境保全と経済発展は両立できる」との基本的な考え方に基づき日本が提言した諸点が地域綱領に盛り込まれたが、これらの点は、世界的にみても持続可能な開発の実現に必要不可欠なものであるとの点において、2002年9月のWSSDに向けて大きな貢献となったと思料される。

(2) 本地域の諸国の殆どは途上国であることから、経済社会、貧困問題への関心が極めて強く、これら途上国側からは、追加的な資金供与及びグローバリゼーションの恩恵に浴することができるよう市場アクセスの改善等貿易・投資ルールの策定を求める要請が強かった(特に、中国及びインドは、現在の合意の範囲を超えた資金供与を求めていた。)が、これらは今後のWSSDプロセスにおける世界規模での合意形成上大きな課題となると考えられる。ODAによる公的支援は依然として重要であるものの、経済発展には民間資金が大きな役割を果たしており、これを呼び込むための途上国の国内におけるガヴァナンス等の努力も必要であり、この点を更に明確にしていく必要性があろう。

(3) なお、今次会合に先立つ27日に開催されたラウンド・テーブルには地域内から約150団体、約400名のNGOが参加したが、日本からもGEA(地球環境行動会議)をはじめとする参加者があり、ヨハネスブルグ・サミットに対する市民からの関心の高まりが伺われた。政府として、こうした団体との意見交換を通じ、政府の考えに対する理解を深めてもらうとともに、彼らの優れたアイデアを吸収する工夫を行いつつ2002年のサミットに取り組んでいく必要があると考えている。


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