December 16, 2004
High-level segment: Impacts of climate change, adaptation measures and sustainable development
"Japan's Action on Adaptation: Building Capacity and Ownership"
The government of Japan
我が国としては、途上国の持続可能な開発の重要性を念頭に、適応分野について我が国の知見・ノウハウを活用して、以下の3本柱を中心に総合的支援を展開していく。
1.開発プロジェクト推進を通じた支援の取組
(1) |
二国間ODA
「京都イニシアティブ」を中心とした有償ないし無償のODA;自然災害対策を含め適応分野に関連するものとして、1997年度以降2003年度までの総額で約1800億円。
- 「京都イニシアティブ」:我が国が97年に表明したODAを中心とした温暖化対策支援策。[1]「ひとづくり」への協力、[2]優遇条件による円借款、[3]日本の技術・経験(ノウハウ)の活用・移転、等を内容とする。
|
(2) |
国土開発・環境問題各分野での途上国支援と適応策
<防災、国土開発>
「防災協力イニシアティブ」:来年1月神戸での国連防災会議開催にあたり、ODAによる国際防災協力に関する基本方針及び具体的取組を発表予定。
<水問題>
「日本水協力イニシアティブ」:2003年に日本のODAによる水分野協力の取組として、1)貧困な国・地域への飲料水・衛生分野への支援、2)都市部を中心とした大規模資金ニーズへの対応、3)キャパシティ・ビルディングへの支援、の措置を講ずることを発表。
<森林>
「アジア森林パートナーシップ(AFP)」:アジアの持続可能な森林経営の促進を目的に、アジア諸国(主にASEAN)、ドナー国・国際機関及びNGOなどが違法伐採対策、森林火災予防、荒廃地の復旧(植林)等の活動を通じて協力していくためのパートナーシップ。2002年に開始。
<砂漠化等地球環境問題>
「EcoISD」(持続可能な開発のための環境保全イニシアティブ):2002年のWSSDに際し発表。行動計画(ODAを中心とした我が国の国際環境協力)の4つの重点分野の1つとして、自然保護区等の保全管理、森林、砂漠化防止及び自然資源管理に対する支援を行っていくことを表明。
<農業問題>
「ネリカ(NERICA: New Rice for Africa)稲事業」:ネリカ稲は、病気・雑草・干ばつに強いアフリカ稲と高収量のアジア稲を組み合わせることによって開発された半乾燥地での栽培に適した高収量の陸稲品種。1997年よりCGIAR(CGIAR: Consultative Group on International Agricultural Research、国際農業研究協議グループ)拠出金、UNDP人造り基金を活用して研究への財政的支援を実施。
|
(3) |
GEF信託基金への拠出
GEF信託基金では、UNDPなど国際機関への委託プロジェクトとして、適応分野の能力開発等が行われており、日本は右基金に対して最大規模の拠出を行っている。(これまでに(パイロットフェーズ(91年7月開始)から11月末まで)、支払いベースで1.21十億ドル)
|
2.途上国行政担当者を中心としたキャパシティ・ビルディング
(1) |
JICA研修コース
JICA研修では、防災、水資源管理、森林資源管理、河川管理、国土開発等、気候変動への適応策に関わるコースを実施。今後ともこれらを継続。
|
(2) |
「地球温暖化対策コース」
「京都イニシアティブ」の下、JICA「地球温暖化対策コース」を実施。その中では、適応に関する基礎知識についての研修も実施。同コースは、1997年以降174人の途上国行政官等が研修を受講。今後ともこれらを継続。
|
3.モデリング等に係る気候変動研究・人材育成の推進
(1) |
地球温暖化アジア太平洋地域セミナー
アジア太平洋地域における地球温暖化問題への認識の向上、経験の交流、取組の促進に貢献することを目的として、1991年から毎年、「地球温暖化アジア太平洋地域セミナー」を開催している。本年は、オーストラリア政府の協力を得て、9月にシドニーで開催し、活発な意見交換が行われた。また、本セミナーの成果物として、AP-NET(アジア太平洋地球温暖化情報ネットワーク)ホームページが設けられており、地球温暖化に関する様々な情報を提供している。
|
(2) |
アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)
アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)は、アジア太平洋地域における地球環境変化の研究を推進し、その研究への途上国からの参加を促進し、科学者・研究者と政策決定者との連携を強化することを主要目的とする政府間ネットワークであり、気候変動をはじめとする様々な地球変動研究の支援を行っている。
|
(3) |
南太平洋地域各国との共同研究
「南太平洋島嶼国における気候変動と海面上昇に関するリソースブック」(Climate Variability and Change and Sea-level Rise in the Pacific Islands Region /A Resource Book for Policy and Decision Makers, Educators and other Stakeholders)は、SPREP(南太平洋地域環境計画)の協力によりとりまとめた報告書。南太平洋地域において深刻な影響をもたらす気候変動及び海面上昇についての知見、住民の意識のギャップ、対策のニーズ等を明確にし、これを克服するための望ましい方向性等を提示する目的で作成され、気候変動と海面上昇について、適応対策など様々な知見を提供している。
|
|