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地球環境

開発途上国における
持続可能な森林経営を推進するための
日本の国際協力


2003年11月21日


 我が国は、森林を効果的に維持し、土壌や水の適切な保全対策を実行し、木材やその他林産物の効率的な伐採・利用方法を発展させてきた。我が国は、二国間、多国間の協力を通じて、持続可能な森林経営に向けた協力活動を実行する中で、開発途上国にこれらの技術を提供してきたところである。地球規模での活動への貢献として、我が国は、国際熱帯木材機関(ITTO)、国連食糧農業機関(FAO)やNGO等の実施する国際的なプログラムを含め、地球サミット後のフォローアップ活動に対して世界中の国々で技術的、財政的な支援を実施している。

 我が国は、2003年8月に我が国ODA政策の根幹をなす「政府開発援助(ODA)大綱」を閣議決定により改定し、その中で環境問題などの地球的規模の問題への取組をODAの重点課題の一つとして挙げるとともに、援助実施の原則においては「環境と開発の両立」をODA実施に際し踏まえるべき諸点の一つとして位置づけている。また、99年8月に公表した「政府開発援助に関する中期政策」においても、重点課題の一つに環境保全を掲げている。

 このように、我が国は途上国の自助努力に対する支援を通じて、森林減少・劣化対策を含む地球規模での持続可能な開発の実現を目指している。具体的には、我が国は97年6月の国連環境開発特別総会(UNGASS)において発表した「21世紀に向けた環境開発支援構想(ISD)」に基づいて、開発途上国における森林の減少・劣化問題に対処し、それらの国で持続可能な森林経営を推進するため、二国間の技術協力や資金協力、国際機関への資金拠出等援助を実施してきた。さらに、我が国は2002年8-9月の「持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグ・サミット)」の機会に「持続可能な開発のための環境保全イニシアティブ(EcoISD)」を発表し、今後はEcoISDに基づいて協力を実施していく。なお、EcoISDの行動計画には、アジア森林パートナーシップ(AFP)の推進を図ることが含まれている。

 近年の我が国の取組は以下のとおりである。

(技術協力)

 我が国は国際協力機構(JICA)を通じ、開発途上国の抱える多様な問題を反映し、熱帯をはじめとする地域で天然資源管理や人工林造成、森林火災対策、社会林業の推進等、技術協力プロジェクトを2003年4月1日現在13カ国、20プロジェクトで行っている。また、相手国政府の技術者等と共同して森林資源調査や森林管理計画の策定等を行う開発調査を8カ国で行っている。

(無償資金協力及び有償資金協力)

 我が国はこれまでに森林・林業分野の無償資金協力を行ってきたが、特に、これまでは無償資金協力の対象とはしてこなかった植栽及びその後の森林の手入れに関わる植林作業についても、1998年からは無償資金協力の対象となり、これまでに5件の無償資金協力を実施している。
 また、開発途上国に対する有償資金協力については、1997年から森林保全・管理、造林、植林、森林資源調査等、地球環境・公害対策に資する円借款案件に対して、優遇条件(金利0.75%、償還期間40年、うち据置期間10年)を適用してきている。

(国際機関を通じた協力)

 我が国は、近年UNFFの支援体制として設立された「森林に関する協調パートナーシップ」(CPF)を構成する国際機関の活動に対し、従来より様々な支援を行ってきた。例えば、国際熱帯木材機関(ITTO)に対して熱帯二次林復旧造林ガイドライン作成等に積極的に参加するとともに、開発途上国における持続可能な森林経営を推進するための各種プロジェクトへの拠出を行っている。また、国連食糧農業機関(FAO)に対し、持続可能な森林経営のための途上国におけるフィールド・プロジェクト等への支援を行い、また、政策対話に積極的に参加している。
 また、開発途上国における生物多様性の減少への取組等のための主要な資金メカニズムの一つとして、世界銀行、UNDP及びUNEPの協力により1991年に発足した地球環境ファシリティ(GEF)は、現在、2002年7月から4年間の活動資金を22.9億ドルとしたフェーズ3を実施し、開発途上国側より提案される事業に対し無償資金協力を行っているが、我が国は、新規資金の約2割を拠出するとともに実質的な意思決定機関である評議会の場等を通じて、GEFの活動に積極的に参画している。さらに、我が国は、UNEPの国連環境基金や国際環境技術センター技術協力信託基金に拠出を行うとともに、世界銀行、CIFOR等を含む他のCPF機関等国際機関に対しても、資金的・技術的・人的貢献を行っている。

(地球環境基金による民間団体の環境保全活動に対する資金支援)

 1993年に環境事業団に設置された、国及び民間の拠出に基づく地球環境基金(2002年度約136億円)では、国内外の民間団体が開発途上地域で行う森林保全・緑化、砂漠化防止に係る実践活動、普及啓発活動等に対し、活動資金の助成を実施している。2002年度には、14か国、21件(約83百万円)の助成を実施した。

(地球環境研究総合推進費による熱帯林の減少に関する調査研究)

 我が国では、地球環境問題の解決に向けて、国立試験研究機関・大学・民間研究機関等の幅広い分野の研究者の総力を結集し、政府一体となった調査研究を「地球環境研究総合推進費」により1990年から実施している。その中で、森林(特に熱帯林)の減少についても、当初より調査研究を行っており、熱帯林生態系に関する研究や熱帯林の持続的管理に関する研究など、2002年までに計12課題(約17億円)を実施した。

(アジア森林パートナーシップ)

 我が国は、世界の持続可能な森林経営促進のためには、地域的取組の促進が重要と考えている。このため、我が国は2002年のヨハネスブルグ・サミットの際にインドネシア等と協力してアジアにおける持続可能な森林経営の促進を目的とする「アジア森林パートナーシップ(AFP)」を発足させ、第1回実施促進会合を2002年11月に日本で、また、第2回実施促進会合を2003年7月にインドネシアで開催し、違法伐採対策、森林火災予防、荒廃地の復旧及び植林分野等における取組を推進中。

(日インドネシア違法伐採対策協力「共同発表」及び「アクションプラン」)

 2003年6月24日、日本とインドネシアは、違法伐採対策の協力に関する「共同発表」・「アクションプラン」を策定、署名した。「共同発表」は違法伐採対策に関する日インドネシア間の協力の理念やアクションプランのアウトライン等を謳い上げる文書である。また、アクションプランは違法伐採問題への取組に関する日インドネシア間の協力を短期・中期・長期的な施策として計画的に進めるための行動計画であり、主な内容は次のとおりである。

(a)合法伐採木材の確認・追跡システムの開発
(b)市民社会も参画した同システムのモニタリング、伐採監視
(c)違法伐採木材の流通・貿易からの排除方策の研究

(その他の取組)

 上記活動に加えて、森林・林業部門の二国間協力やITTO、FAOを通じた多国間協力のための協力に向けた数多くの調査、投資活動が外務省、NGO(海外林業コンサルタンツ協会、国際緑化推進センター、オイスカ等)、日本国内の民間企業によって実施されている。




最近(主に1995~2002年)実施された二国間の森林・林業協力
(技術協力、無償資金協力、有償資金協力)


アルゼンチン ◆チャコ地域森林資源調査
ベナン ◆北部保存林森林管理計画
ボリビア ●タリハ渓谷住民造林・浸食防止計画
ブラジル ●アマゾン森林研究計画
◆パラ州荒廃地回復計画調査
ブルネイ ◆森林資源開発調査
ブルキナファソ ★地方苗畑改修計画
◆コモエ州森林管理計画
カンボジア ●森林分野人材育成計画
チリ ●半乾燥地治山緑化計画
中国 ●四川省森林造成モデル計画
●人工林木材研究計画
●日中協力材木育種科学技術センター計画
◆四川省安寧河流域造林計画調査
★漢江上流水土保持林造成機材整備計画
★黄河中流域保全林造成計画
★第二次黄河中流域保全林造成計画
▲山西黄土高原植林計画
▲内蒙古自治区黄土高原植林計画
▲寧夏回族自治区植林植草計画
▲陝西省黄土高原植林計画
▲甘粛省植林植草計画
▲内蒙古自治区植林植草計画
ドミニカ共和国 ◆サバナ・イェグア・ダム上流域管理計画調査
エクアドル ◆北東部林業資源調査
エチオピア ◆南西部地域森林保全計画
ガーナ ◆移行帯地域森林保全管理計画
グアテマラ ◆バハ・ヴェラバス県針葉樹林資源調査
ホンジュラス ◆ラウパンセンティ地域針葉樹林資源調査
インド ▲ラジャスタン州植林開発計画
▲インディラ・ガンジー運河地域植林計画
▲グジャラート州植林開発計画
▲カルナタカ州東部植林計画
▲タミルナド州植林計画
▲アラバリ山地植林計画
▲パンジャブ州植林開発計画
▲アタパティ地域環境保全総合開発計画
▲パンジャブ州植林開発計画(II)
▲ラジャスタン州植林・生物多様性保全計画
インドネシア ●マングローブ情報センター計画
●生物多様性保全プロジェクト(フェーズII)
●林木育種計画(フェーズII)
●森林火災予防計画(フェーズII)
■マングローブ林資源保全開発現地実証調査
◆NTT州半乾燥地域復旧開発計画
◆チタリック水源林造成計画
◆ムシ川上流地域社会林業計画
◆トンダノ流域管理計画調査
★国立公園森林火災跡地回復計画
★森林火災対策機材整備計画
▲チタリック水源林造成計画
ケニア ●半乾燥地社会林業普及モデル開発計画
★林業育苗訓練センター拡充計画
ラオス ●森林保全・復旧計画(フェーズII)
◆ヴァンヴィエン地域森林保全流域管理計画
★造林センター建設計画
マダガスカル ◆マンタスア及びチアゾンパニリ地域流域管理計画
マレーシア ●サバ州造林技術開発訓練計画アフターケア
●ボルネオ生物多様性・生態系保全プログラム協力
■複層林施業技術現地実証調査
◆北部サバ州造林計画
◆サバ州ベンコッカ造林入植計画調査
◆サバ州北部マラックパラック地域林業開発計画
■熱帯早生郷土樹種造林技術現地実証調査
マラウィ ◆コタコタ地域持続的資源管理計画
◆シレ川中流域における森林復旧・村落振興モデル実証調査
★森林火災消化機材の整備
メキシコ ◆オアハカ村落林業振興計画
▲メキシコ首都圏植林計画
モンゴル ◆森林管理計画
モロッコ ◆薪炭林計画
ミャンマー ●乾燥地共有林研修・普及計画
◆エーヤーワディデルタ住民参加型マングローブ総合管理計画調査
ネパール ●村落振興・森林保全計画(フェーズII)
ニカラグア ◆北部太平洋岸地域防災森林管理計画調査
オマーン ◆マングローブ林再生・保全・管理計画調査
パナマ ●運河流域保全計画
パプアニューギニア ●森林研究計画(フェーズIIフォローアップ)
パラグアイ ◆東部造林計画調査
ペルー ▲山岳地帯・貧困緩和環境保全計画
フィリピン ◆マリキナ水源林造成計画
◆マングローブ林資源評価調査
◆マガット川及びカガヤン川上流域管理計画調査
▲ミンダナオ持続的入植地開発計画
▲森林セクタープロジェクト
▲南ミンダナオ沿岸地域環境保全計画
ルーマニア ◆南部森林保全計画調査
セネガル ●総合村落林業開発計画
◆プティト・コート及びサルーム・デルタにおけるマングローブの持続的管理に係る調査
★苗木育成場整備計画
★沿岸地域植林計画
ソロモン ◆ニュージョージア諸島村落林業計画調査
タイ ●東北タイ造林普及計画(フェーズII)
◆マングローブ再生普及計画調査
トルコ ◆チョルフ川参加型流域復旧管理計画
チュニジア ▲総合植林計画
ウルグアイ ●林産品試験計画
●林木育種計画
ベトナム ●メコンデルタ酸性硫酸塩土壌造林技術開発計画
◆中部高原地域森林管理計画
★中南部海岸保全林植林計画
★中部高原植林機材整備計画
★北西部植林機材整備計画
▲地方開発・生活環境改善計画
ザンビア ◆南西地域チーク林資源調査
ジンバブエ ◆グワーイ及びベンベジ地区森林資源調査

凡例  
●技術協力プロジェクト(国際協力機構;JICA)
■実証調査(国際協力機構;JICA)
◆開発調査(調査及び計画)(国際協力機構;JICA)
★無償資金協力(外務省)
▲有償資金協力(国際協力銀行;JBIC)





アジア地域で実施中のプロジェクト(JICAを通じた協力)


国名 プロジェクト名 期間 活動の内容
カンボジア 森林分野人材育成計画 2001~2004 森林野生生物局職員の人材育成を図るため、人材育成のための計画策定及び計画に基づいた研修・訓練を実施
中国 人工林木材研究計画 2000~2005 人工林木材の特性、科学的処理、物理的処理に関する基礎研究を実施
四川省森林造成モデル計画 2000~2005 安寧川流域において、モデル苗畑及びモデル造林地を造成し、育苗・造林技術の開発・実証と開発された技術の訓練・普及
日中協力林木育種科学技術センター計画 2001~2006 中国南方の森林環境を改善するため、新品種の育成と森林遺伝子の保存技術の開発等及びそれらの技術を南方各省へ普及
インドネシア 森林火災予防計画フェーズII 2001~2006 衛星情報による早期警戒・発見システムの適用拡大、ホットスポットの解析、火災管理システムの改善、国立公園における予消防モデルの構築
マングローブ情報センター計画 2001~2004 マングローブ情報センターを組織・制度面で強化するために、普及従事者を対象とするマングローブ管理に関する訓練の実施、普及のための制度・社会経済調査の実施
炭素固定森林経営現地実証調査 2001~2006 人工林における炭素固定量の定量的推定方法の開発、炭素固定能力の維持・増進をめざす人工林造成技術の開発等を実施
ミャンマー 乾燥地共有林研修・普及計画 2001~2006 乾燥地における住民参加型森林管理を促進するため、森林局職員の普及能力の向上及び地域住民に対し共有林制度の普及を実施
エーヤーワディ・デルタ住民参加型マングローブ総合管理計画調査 2001~2004 ミャンマー国南西部エーヤーワディ管区のボガレー及びラプタ郡内の5つの保存林区(カドンカニ、ビンダイエ、メインマラ、チャカンクインバク、ピナラン)対象に、マングローブ林の回復及び持続的な利用を目的としたマングローブ総合管理計画の策定
フィリピン マガット川及びカガヤン川上流域管理計画調査 2000~2003 マガット川及びカガヤン川上流域97万haを調査対象として流域の自然条件・社会経済条件を把握するとともに、住民組織の能力を調査した上で、植林事業実施の優先地域を示した流域管理計画マスタープランの策定
タイ 東北タイ造林普及計画フェーズII 1999~2004 地域住民による持続的な造林活動を定着させるため、森林経営技術の開発・改善、森林経営技術・情報の住民への普及・伝達
ベトナム 北部荒廃流域天然林回復計画 2003~2008 林業公社、流域管理委員会、農業・林業普及関連部局が活用することが出来る、天然林回復の適正かつ経済的な技術体系の整備





その他の実施中の取組み例


事業名 実施主体 期間
(年度)
内容
輸入木材の輸入先国における森林現況把握事業 日本林業技術協会 2002~2004 衛星データを用い、木材の輸入先国の森林の現況や伐採状況を客観的に把握するとともに、現地の土地利用計画図等との比較により伐採の適法性・違法性を判断することを可能とする技術を開発する。
G8森林違法伐採対策支援事業 全国木材組合連合会 2001~2003 違法伐採に対処するため、我が国における木材流通加工業者が可能な取組に関し検討を行う協議会を設置し、海外における違法伐採の現状把握や対策についての海外との意見交換、関連する情報の提供を行うとともに、これらの成果を踏まえ、国際シンポジウムを開催する。
アジア東部地域森林動態把握システム整備事業 日本林業技術協会 2001~2005 アジア東部地域において、衛星データを利用して森林劣化の状況を効率的に把握する解析技術の開発及び解析結果を基に森林の状態変化の将来予測を行う技術の開発等を実施。
地域住民森林管理実証調査事業 海外林業コンサルタンツ協会 2001~2005 途上国における地域住民参加による森林造成及びその後の管理・経営に向けた取組を推進するため、地域住民による自主的・継続的な森林の管理・経営行動を経済的な誘因を用いて呼び起こす手法を確立し、その実証を実施。
国際森林専門家会議「国別伐採実施規範の策定と実施:課題と方策」の開催 林野庁、千葉県 2003 国別伐採実施規範の策定や実施の状況、低インパクト伐採技術の開発・普及の現状につき共通理解を深めるとともに、これらの取組における課題やこれまで得られた教訓を共有し、森林経営の現場レベルから政策レベルで今後とり得る現実的な方策について議論を行なった。
永久凍土地帯温暖化防止森林基礎調査事業 日本林業技術協会 2002~2005 シベリア永久凍土地帯において、森林火災に対する効果的な森林保全・復旧技術の開発等及び温暖化防止のための「共同実施」事業形成に必要な技術的課題を解決するための調査を行う。
途上地域混牧林経営推進確立調査事業 海外林業コンサルタンツ協会 2002~2005 途上国において、相当数の家畜放牧と共生可能な森林施業の仕組みについて、モデル案の検討、モデルの実証及び技術指針の普及を実施。
CDM植林ベースライン調査事業 海外林業コンサルタンツ協会 2003 ~2007 植林プロジェクトによる吸収量算定の基礎となるベースライン吸収量(プロジェクトがなかった場合の炭素吸収量)の解析及び分布情報の提供。
CDM植林人材育成事業 国際緑化推進センター 2003 ~2007 CDM植林事業について、申請から執行管理までを担う国内外のプロジェクトスタッフを育成。
CDM植林技術指針調査事業 海外産業植林センター 2003 ~2007 CDM事業の認定機関(OE)が実施する事業審査に向けた、CDM植林事業参加者用の技術マニュアルを作成。
(農林水産省予算に係る取組の中から、2001年度又は2002年度に開始した事業を中心に例示したものである。なお、本表には非ODA事業が含まれる。)


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