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平成21年版外交青書(外交青書2009)の刊行に当たって


日本を取り巻く国際情勢や日本外交の軌跡を振り返り、正確かつ客観的な記録を留めていくことは、国民の皆様への説明責任を果たしていく上で、また、1年間の日本外交の総括記録を後世に残すという意味でも重要です。こうした考えの下、平成21年版外交青書(外交青書2009)を刊行いたしました。


2008年は、日本にとって8年に一度のG8サミット主催と5年に一度のアフリカ開発会議(TICAD)開催が重なるという史上稀まれな外交の年でした。日本はこの機会をとらえ、国際社会に共通の課題の解決に向けた強力なリーダーシップを発揮し、国際的に高い評価を得ることができました。また、拡大する金融危機に対しては、11月の金融・世界経済に関する首脳会合で日本の経験を踏まえた具体的な提案を行いました。さらに12月には、日中韓首脳会議を初めて単独開催し、日中韓協力を新たな次元に押し上げました。私自身、就任早々に国連総会開会中のニューヨークに出張し、ミレニアム開発目標ハイレベル会合などに出席し、また米国、中国、パキスタンと外相会談を実施したことを皮切りとして、日本の積極的・主体的外交のため尽力してまいりました。


今年の外交青書では、第1章「概観」において、2008年の国際情勢と日本外交の取組を振り返ります。第2章では「地域別に見た外交」、第3章では「分野別に見た外交」として、2008年の外交活動や国際情勢を記録しています。また、第4章「国際社会で活躍する日本人と外交の役割」では、世界で活躍する日本人や日本企業とそれを支援する外務省の取組について触れ、最後に第5章「国民に開かれた日本外交」では、地方自治体との連携や外交実施体制の強化など、総合的な外交力強化に向けての取組について説明しています。


外交の目的は、日本の国益、すなわち日本の安全と繁栄及び日本国民の生命・財産の確保、さらに、国家の名誉や威信を守ることであり、国民が自国に誇りを持てるようにすることでもあると信じます。日本は、科学技術の力、人的資源、幾多の困難を乗り越えた実績、いずれをとっても世界に誇れるものを持っています。国際社会が山積する困難を抱えている今、日本が積極的・主体的な外交を展開し、国際社会の中で活躍することは、国民が自信や誇りを得ることにつながるものと確信します。

そうした力強い外交を実施していくためには、国民の皆様に、国際情勢と日本外交、さらには外務省の仕事を御理解いただき、御支持と御支援を頂くことが必要です。この外交青書がその一助となることを期待します。


平成21年4月


写真・中曽根弘文外務大臣

外務大臣 中曽根 弘文



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