日本をとりまく国際情勢や日本外交の軌跡を振り返り、正確かつ客観的な記録としてとどめていくことは、国民の皆様への説明責任を果たしていく上でも、また、今後の国際社会や日本外交の在り方を考え、積極的な外交を展開していく上でも、重要な礎(いしずえ)となるものです。こうした考えの下、1957年の発刊以来、第51号目となる平成20年(2008年)版外交青書を刊行しました。
2007年は、日本外交の要である日米同盟の一層の強化が図られるとともに、日中関係の改善や日印関係の強化など、アジア外交が大きく前進した1年でした。私も、外務大臣就任後すぐにニューヨークで開かれた国連総会に出席し(9月)、シンガポールでの東アジア首脳会議関連行事(11月)や中国での日中ハイレベル経済対話(12月)に出席するなど、忙しい日程をこなしながら、日米同盟の強化と積極的アジア外交が「共鳴」し、良い循環を生み出すよう努めてきました。また、2007年は、「テロとの闘い」や、平和構築、地球温暖化等、地球規模の課題の解決に向けての取組を強化し、2008年のG8北海道洞爺湖サミットと第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)の開催に向け、外交基盤を強化することができた1年であったと考えております。
今年の外交青書では、まず、第1章において、2007年の国際情勢と日本外交の取組を振り返り、第2章では「地域別に見た外交」について、第3章では、「分野別に見た外交」について、それぞれ過去1年間の外交活動や国際情勢を記録しています。第4章の「国際社会で活躍する日本人と外交の役割」では、世界で活躍する日本人や日本企業と、それを支援する外務省の取組についてとりあげています。第5章「国民に開かれた日本外交」では、外務省の地方自治体との連携や外交実施体制の強化など、総合的な外交力強化に向けての取組について触れています。
日本の国益である日本国民の幸福及び日本の平和と繁栄の確保は、世界の平和と繁栄の実現なくしてあり得ません。このような考えの下、今後とも日本の国益を増進し、平和な世界を創るため、様々な課題への取組に力強くリーダーシップを発揮していく決意です。ここに刊行します外交青書が国際情勢と日本外交に対する皆様のご理解を深めるための一助となることを期待しています。
平成20年4月
外務大臣 高村 正彦