第4章 国際社会で活躍する日本人と外交の役割


2.日本のNGOの活躍

【総  論】

 国際協力活動に携わる日本の非政府組織(NGO)は400以上あるといわれ、自然災害や地域紛争など国際社会が様々な課題に直面する中、地域社会や住民に密着したきめの細かい、迅速かつ柔軟な対応ができるNGOの重要性はますます高まっている。 また、その活動範囲は開発援助、緊急人道支援にとどまらず、環境、人権、貿易、軍縮・不拡散、国際組織犯罪等の分野にまで至る。

 外務省としても、NGOの役割を重視し、「日本の顔の見える支援」を担う日本外交の重要なプレーヤーの一人と位置付けて連携強化を図っている。 

▼国連関係機関における日本人職員数の推移(専門職以上)

国連関係機関における日本人職員数の推移 (専門職以上)

▼主要国際機関における日本人幹部職員

主要国際機関における日本人幹部職員

 COLUMN


国連の開発協力の現場を支える

 9月に国連開発計画(UNDP)の管理局長 に任命され、ニューヨーク本部に赴任しました。管理局長は総裁、副総裁に次ぐポストで、UNDPの管理部門総責任者として予算、財務、総務、人事・研修、調達、安全管理、法務、ITシステムを総括します。管理局の職員450人を指揮して、予算や人材などの経営資源の最適化を図ることにより、UNDPが世界中で繰り広げる開発協力活動の効率性を一層増進させることが期待されています。総裁や副総裁が毎週開く幹部会議では、レバノンやアフガニスタンに駐在する職員の安全対策、職員のキャリア構築戦略、次年度の予算編成など、管理局が担当する課題が多くとりあげられます。予算配分、評価・昇進制度、全世界140以上のUNDP事務所をつなぐITネットワークの整備を含む管理局の仕事は、その性格上組織全体に影響を与えます。それゆえ、一つひとつの決定をする上で はあらゆる面からの検討と精査が必要となります。

 開発協力のキャリアにおいては、開発途上国の現場での経験を積むことが重要だと確信しています。私自身は、タイ、インドネシア、ブータンに合計12年間駐在する機会を得て、現場レベルでの国別援助計画策定、貧困削減プロジェクトの形成やモニタリング・評価などにかかわることができました。その後、UNDPにとって大変重要なパートナーである日本 との協力強化に努めるため、駐日代表として4年半勤務しました。その間、アフガニスタン、イラク、パレスチナ、アフリカ地域などでの平和構築や貧困削減と いった分野で、日本とUNDPの協力が大きく広がったのはうれしい限りです。

 管理局長としての業務遂行においては、ある一つの国に焦点を当てたこれまでの仕事とは違い、組織全体への慎重な配慮が常に要求されます。国連改革を目指す広い視野に立ち、組織の効率化や変革にかかわる大きな決定を下す場にいることを意識し、最適な判断をしなくてはなりません。チャレンジの多い毎日ですが、今までの経 験、特に途上国の現場で働く目線と感覚を忘れずに、全力で取り組みたいと思っています。

国連開発計画(UNDP) 管理局長 弓削 昭子



▲UNDPグローバル・スタッフ・ミーティングで発言する
ケマル・デルビシュ総裁と弓削管理局長



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