(2)日本の取組
中東和平問題は、中東地域のみならず、国際社会全体の平和と安定に深く影響を与える問題である。日本は、イスラエルとパレスチナの二国家の共存共栄が唯一の和平への道であるとの認識の下、(1)両当事者への政治的働きかけ、(2)対パレスチナ支援、(3)信頼醸成促進-に取り組んでいる。
7月に小泉総理大臣がイスラエル、パレスチナ自治区及びヨルダンを訪問し、各首脳に対して対話を通じた和平の実現を直接働きかけた。また、有馬龍夫中東和平担当特使も域内関係国に対して和平実現に向けた働きかけを行っている。

▲ 会談後、共同記者会見に臨む小泉総理大臣とオルメルト・イスラエル首相(7月11日、イスラエル・エルサレム 写真提供:内閣広報室)
日本は、1993年以降、総額約9億ドルの対パレスチナ支援を実施してきており、7月の小泉総理大臣の中東訪問時には、アッバース大統領支援、医療や雇用創出のための人道支援からなる約3,000万ドルの対パレスチナ支援を表明した。また、将来の共存共栄に向け、地域協力を通じてヨルダン渓谷の開発を図る「平和と繁栄の回廊」構想を提案し、イスラエル・パレスチナ・ヨルダンの各首脳から賛同を得た。

▲会談後、共同記者会見に臨む小泉総理大臣とアッバース・パレスチナ自治政府大統領(7月13日、パレスチナ・ラマッラ 写真提供:内閣広報室)
信頼醸成については、日本と現地において草の根レベルでイスラエル・パレスチナ双方間の信頼醸成に関する事業を支援しており、2006年には「イスラエル・パレスチナ間信頼醸成及び和解のための双方遺族間の対話促進計画」などを実施した。
さらに、1996年以来、ゴラン高原に展開する国連兵力引き離し監視隊(UNDOF)への要員派遣を継続している。
イスラエル・ヒズボラ間の紛争に際しては、レバノンに対し、医薬品・テント等のため総額500万ドルの緊急無償支援を行うとともに、地雷・不発弾処理のため人間の安全保障基金を通じ約200万ドルを拠出することを決定し、8月、レバノン国際支援国会議(於:スウェーデン)に出席した金田外務副大臣より表明した。
▼「平和と繁栄の回廊」構想

▼対パレスチナ支援

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