第2章 地域別に見た外交


3.地域統合と域外国との関係

(1)中南米及び米州域内の統合

 中南米地域では地域統合の動きが活発であり、南米南部共同市場(MERCOSUR)、アンデス共同体(CAN)、中米統合機構(SICA)、カリブ共同体(CARICOM)などの多国間の経済統合の枠組みが存在している。

 地理的・歴史的経緯から中南米地域と関係が深い米国は、キューバを除く、北米・中南米地域全体を包摂する米州自由貿易地域(FTAA)創設に向けた交渉を進めてきたが、関係国の意見の相違もあって進展は見られなかった。その一方で、米国と個々の中南米諸国・地域とのFTA交渉が活発化した。米国は既にメキシコ(1994年1月発効)、チリ(2004年1月発効)とFTAを結んでいるが、2006年には新たに米国・中米・ドミニカ共和国自由貿易協定(DR‐CAFTA)のうち、エルサルバドル(3月)、ホンジュラス、ニカラグア(4月)、グアテマラ(7月)との協定が発効したのに加えて、ペルー(4月)及びコロンビア(11月)とのFTAも署名に至った。

 こうした米国主導の統合アプローチとは別に、南米地域においては、経済やインフラの統合を中心とした南米域内の独自の統合を目指す動きが見られる。ベネズエラは、4月にアンデス共同体を脱退し、7月にメルコスールに正式加盟した。また、12月にボリビアで開催された第2回南米共同体首脳会議では、南米統合プロセスを加速するための「コチャバンバ宣言」及び「南米統合深化のための戦略計画」が採択された。

▼中南米の地域別貿易相手




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