第2章 地域別に見た外交


(ロ)あらゆるレベルでの対話

 日中両国は、近時、首脳、閣僚を含むあらゆるレベルで対話を重ねている。首脳間では、前述の安倍総理大臣訪中に加え、2006年11月のAPEC首脳会議(胡錦濤国家主席との会談)及び2007年1月のASEAN関連首脳会議(温家宝総理との会談)の際に日中首脳会談が行われた。麻生外務大臣と李肇星中国外交部長との間では、5月(アジア協力対話(ACD)外相会合、於:ドーハ)、7月(ARF閣僚会合、於:クアラルンプール)、11月(APEC閣僚会議、於:ハノイ)、12月(於:セブ)と、計4回の外相会談が行われた。これらの会談を通じ、両外相は、日中関係が両国にとり最も重要な二国間関係の一つであるとの認識を共有し、あらゆる分野における交流の促進で一致したほか、安倍総理大臣訪中の成果を踏まえつつ、日中間の「戦略的互恵関係」の構築に向けた具体的な意見交換を行ってきている。事務レベルでは、2月、5月、9月及び2007年1月に次官級の日中総合政策対話が実施されたのをはじめ、幅広い分野において間断のない対話が行われた。また、これらのほかにも、関係省庁等による閣僚級や実務レベルの協議が幅広く行われた。



▲ASEAN関連閣僚会議に際し、会談に臨む麻生外務大臣と李肇星中国外交部長(12月9日、フィリピン・セブ)

 有識者間の対話としては、安倍総理大臣訪中の際の両国首脳間の合意に基づき、日中歴史共同研究の第1回会合が12月26日から27日にかけて北京で開催された。同共同研究は、歴史に対する客観的認識を深めることによって相互理解の増進を図ることを目的としており、日中平和友好条約締結30周年に当たる2008年を目標に成果を提出することとなっている。また、訪中の際、安倍総理大臣からは、中国の愛国主義教育に関連し、日本関連の教育や歴史展示物についての適切な対処を要請した。中国側は、日本の戦後の平和国家としての歩みを積極的に評価し、「共同プレス発表」にも明記された。また、「新日中友好21世紀委員会」の第4回、第5回会合がそれぞれ3月、10月に開催され、2007年の最終報告書のとりまとめを念頭に、「戦略的互恵関係」の構築に資する提言を行っていくこととなった。




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