第5章 世論の理解と支持を得た日本外交


(1)国民と対話する広報

 外務省は、外務大臣をはじめとして外交実務を実際に担当する外務省職員が、国民と直接対話を行う「国民と対話する広報」の推進に力を入れている。2002年4月、国民と外務大臣が直接対話を行う「外務省タウンミーティング」 を開始し、2006年2月までに全国の諸都市で計13回開催した (注2) 。「外務省タウンミーティング」では、外務大臣が国民の関心の高いテーマについて、映像や手話通訳等も使いながら分かりやすく説明し、日本の外交政策の在り方や国際情勢についての質問や意見に率直にこたえることにより、国民の外交に対する理解を深めることに努めた。

 政府開発援助(ODA)については、ODA改革の動きについて国民に紹介すること等を目的として「ODAタウンミーティング」を全国各地で開催している (注3) 。10月からは、大学や地方自治体等が主催する講演会に外務省経済協力局職員が赴き講演を行う「ODA出前講座」を新たに始めた (注4)

▲タウンミーティングに出席する麻生外務大臣(2006年2月18日、東京、テーマ「これからの日本外交」)

▲大勢の観衆が集まったタウンミーティング会場

 さらに、外務省職員と国民をつなぐ「国際情勢講演会」、「タウンミーティング『外交の窓』」等の講演会やシンポジウムを地方自治体や国際交流団体、メディア等との共催で全国各地で開催したほか、特に若い世代の国際理解を促進するため、大学(「外交講座」)、高校(「高校講座」)での講演会に外務省職員を派遣し、参加者から高い評価を得た。大学生と若手外務省職員との意見交換の場である「タウンミーティング『学生と語る』」(年3回~4回実施)は、国際問題や外交問題について学生が日ごろ抱いている疑問や関心について、現役の外務省職員と直接討論する機会として、好評を博している。こうした催しは、国民に対する情報発信としてだけでなく、外務省職員が外交実務を遂行していく上で国民の考えに直接触れる貴重な機会ともなっている。今後もこのような国民と対話する広報を通じて、外交政策に対する国民の理解を得るよう努めるとともに、幅広く国民の意見を求め、外交政策立案の参考としていく考えである。




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