第2章 地域別に見た外交


(1)カナダ情勢

 2004年の発足以来、少数与党政権を運営してきたマーティン首相(自由党)は、2005年も不安定な政局に見舞われた。広報宣伝費を巡る連邦政府補助金不正支出疑惑の報告書の提出を受けて、11月28日に内閣不信任案が可決され、2006年1月23日に実施された連邦総選挙では、ハーパー党首率いる保守党が308の下院議席数のうち124議席を獲得し、約12年ぶりに自由党から政権を奪回した。

 内政では、引き続き健康保険制度(ヘルス・ケア)への関心が高いほか、同性婚を法律上有効とする法案が可決された。

 外交面では、4月19日にマーティン政権が「対外政策に関する基本方針」を発表し、10年ぶりに、外交、国防、開発、通商について分野横断的な見直しが実施された。日本は、世界第2位の経済国家、確立された関係を有するG8のメンバー国として重視されている。カナダ経済は、米国経済の回復等により順調な成長を示した2004年(GDP成長率2.9%)に続き、国内需要や輸出拡大を背景に、2005年も堅実な成長(GDP成長率2.9%)を続けている。また、財政面では、1997年度以降2004年度まで単年度財政黒字を計上し、健全な財政運営が続いている。




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