第3章 分野別に見た外交 |
【海賊】
海洋国家である日本は、石油や鉱物等のエネルギー資源の輸入を海上輸送に依存し、特に輸入量の半分以上がアジアの海上を通過している。アジアにおける海上の安全確保は、日本の海上輸送にとり重要であるだけでなく、この地域全体の安定と経済の発展にも極めて重要である。
アジアにおいては、90年代後半より海賊事件が急増している。2003年には、全世界で発生した452件の海賊事件のうち、289件が東アジア及びインド洋を含むアジア地域で発生した(図表「海賊事件報告件数」参照)。日本に関係のある船舶の被害も見られた(注24)
。
このような状況を受け、小泉総理大臣は、2001年11月のASEAN+3首脳会議において、アジアの海賊問題に有効に対処すべく、地域協力促進のための法的枠組みの作成を提唱、日本の主導の下、ASEAN諸国、中国、韓国、インド、スリランカ、バングラデシュが協力して「アジア海賊対策地域協力協定」の作成交渉を行い、2004年11月、本協定の案文が採択された。本協定は、今後、各国による締結を経て発効し、海賊に関する情報を共有する体制や各国協力網の構築等、その実施を通じたアジア地域の海賊対策における関係国の協力の強化が期待されるとともに、アジアの地域協力の良きモデルとしても期待される。
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