第2章 地域別に見た外交 |
【南北朝鮮関係】
韓国の盧武鉉政権は、対北朝鮮政策として、「平和・繁栄政策」を標榜している。これは、北朝鮮の核問題を解決し、朝鮮半島の平和と安全を確保した上で、南北間の和解と交流を進め、朝鮮半島の繁栄を目指すものであり、そのための原則として、1)対話を通じた懸案解決、2)相互信頼、互恵主義、3)南北当事者原則に基づく円滑な国際協力、4)国民参加拡大を掲げている。こうした「平和・繁栄政策」は、基本的に「確固たる安全保障体制を敷きつつ、南北間の和解・交流を積極的に進める」という金大中前政権の「包容政策」を受け継いだものと言える。
2004年前半は、前年に引き続き、南北間の対話は維持され、2月と5月には閣僚級会談、3月と5月には経済協力推進委員会、5月と6月には将官級軍事会談が行われるなど、南北間の交流や協力事業がさらに進展した。
韓国政府は、南北関係の実質的な発展のため、「経済」と「安全保障」分野がバランスの取れた形で発展することを目指している。そのため、韓国政府は、「開城(ケソン)工業団地」、「京義(キョンギ)線及び東海線の鉄道・道路連結」、「金剛山(クムグァンサン)観光事業」の三大経済協力事業を滞りなく推進しつつ、将官級軍事会談の定例化を通じ、軍事的緊張緩和と信頼の構築のための措置の推進を同時に進めようとしてきた。
しかし、7月27日及び28日、韓国政府が、東南アジアの「第三国」に滞在していた脱北者460名以上を一括して入国させたことに関し、北朝鮮側は、声明を発出し、「6・15(南北)共同宣言に対する全面的な違反、挑戦であり、我が体制を崩壊させようとする最大の敵対行為とみなす」と非難した。その後、北朝鮮は、8月3~6日に予定されていた第15回南北閣僚級会談、8月31日~9月3日に予定されていた第10回南北経済協力推進委員会の開催にも応じていない。ただし、このような状況の下でも、南北間における三大協力事業は進められており、特に、開城工業団地においては、2004年12月、韓国企業が生産を開始している。
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