第2章 地域別に見た外交


1 朝鮮半島

【総論】
 日本に隣接する朝鮮半島は、北東アジア地域に位置する日本にとって最も重要な地域の一つである。
 韓国は、地理的に日本に最も近い国であるばかりでなく、民主主義、市場経済等の基本的価値を共有し、政治、経済、文化といった、あらゆる側面で極めて密接な関係にある重要な隣国である。近年、両国の関係は一層の深みと拡がりを見せており、将来に向けて一層強固な友好協力関係を発展させることが、日韓両国のみならず北東アジアの平和と繁栄にとって極めて重要である。
 2004年は、日本において韓国ドラマや映画の人気が高まるいわゆる「韓流」現象が生じ、また、両国間の年間往来数が400万人に達するなど、両国民の相互関心と交流はかつてない高まりを見せた。政府間でも、小泉純一郎総理大臣と盧武鉉(ノムヒョン)大統領が、7月に韓国・済州島、12月に鹿児島県指宿市において首脳会談を行うなど、両国間で活発な往来が行われた。
 北朝鮮をめぐっては、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、北東アジア地域の平和と安定に資する形で日朝国交正常化を実現するとの方針の下、外交努力を傾注してきているが、いまだこれら諸懸案は解決していない。
 拉致問題については、2004年5月、小泉総理大臣の二度目の訪朝の結果、拉致被害者家族すべての帰国が実現した。その一方で、安否不明の拉致被害者の問題については2004年8月から3回にわたり日朝実務者協議が実施されたが、依然として未解決のままであり、政府としては、引き続き、本問題が納得いく形で解決されるべく、全力で取り組んでいるところである。
 北朝鮮の核問題は、日本を含む北東アジア地域の平和と安定に対する直接の脅威であるのみならず、国際的な核不拡散体制に対する深刻な挑戦である。同問題については、2003年に引き続き、2004年2月に第2回六者会合、6月に第3回六者会合が開催され、関係国の間で問題の平和的解決に向けた外交努力がなされたが、その後、2004年11月の米大統領選挙及び新政権の発足をにらんだ北朝鮮の会合参加への消極姿勢もあり、第4回会合の2004年内の開催は実現しなかった。



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