【人権に関する国連の政府間フォーラムの動き】
3月から4月にかけて、ジュネーブにおいて開催された国連人権委員会第59会期では、約100本の決議・決定が採択に付された。これまでコンセンサスで採択されてきた議長国の選出が異例の投票に付され、また折からのイラク問題に関する特別会合の開催が提案され激しい攻防の末に否決されるなど、例年にも増して政治色・対立色の濃い会期となった。
同会期では、史上初の「北朝鮮の人権状況決議」が採択された。日本は共同提案国としてこの決議の作成に貢献するなど積極的に議論に参加し、北朝鮮による日本人拉致問題を、人権委員会において正面から取り上げ、各国に印象づけた。また、日本は基本原則を踏まえ、これまでと同様、カンボジア人権状況決議案の主提案国として決議案の作成に中心的な役割を果たしたほか、他の決議案の審議においても実効性のあるバランスのとれた内容となるよう積極的な努力を行った。
9月から12月にかけて、ニューヨークにおいて開催された国連総会第3委員会では、これまでコンセンサス採択されてきた「人権規約決議」、「テロ対策と人権保護決議」についてのコンセンサスが崩れるなど、対決色が強まった。このような中、日本は、意見の対立する地域・諸国の間で橋渡しの役割を果たすなど、建設的な貢献を行った。特に、本年をもって国連総会への提出を終了させるカンボジア人権状況決議は、日本が例年通り主提案国として関係国との間の粘り強い調整を進め、コンセンサスでの採択を得ることができた。また、常駐代表演説において北朝鮮による日本人拉致問題が重大な人権侵害であることを取り上げ、すべての国連加盟国を前にその解決の重要性を訴えた。