第3章 分野別に見た外交 

核兵器不拡散条約(NPT)
 2003年4月28日~5月9日、2005年核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議(注11)の第2回準備委員会がジュネーブにて開催され、106か国の締約国が出席した。この会合は、北朝鮮によるNPT脱退宣言等が大きな問題となるなど厳しい国際情勢の中での開催となった。日本はこのようなNPTの不遵守に係わる問題には、国際社会が一丸となって適切に対処する必要性を強調したことに加え、包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効や国際原子力機関(IAEA)追加議定書の普遍化をはじめとする実際的措置を積み重ねることにより、NPTを礎とする国際的な核軍縮・不拡散体制を維持・強化する必要性を強く訴えた。また、日本は演説の実施や作業文書の提出等を通じて準備委員会に積極的に参加することにより、バランスのとれた議長総括の採択に貢献した。特に北朝鮮による核問題に関しては、日本の考えを訴え、早い段階から関係国及び議長と協議を重ねた結果、議長総括では、締約国が北朝鮮に対し、核兵器計画の即時、検証可能で不可逆的な廃棄を求めたこと等が明記された。
 第2回準備委員会開催中の5月5日、東ティモールが189番目の締約国としてNPTに加入した。日本をはじめとする各国は前年11月のキューバのNPT加入とともに、NPTの普遍性を一層高めるものとしてこれを歓迎した。日本は同時に、NPT非締約国であるインド、イスラエル、パキスタンに対してNPT早期加入を呼びかけており、引き続き働きかけていく考えである。

 

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