第2章 地域別に見た外交 

第2節 北米

1 米国

【総論】
 ブッシュ政権は、2003年も引き続きテロとの闘いを強力に推し進めるとともに、大量破壊兵器開発疑惑に関する累次の国連安保理決議の重大な違反が認定されたイラクに対して武力行使を行い、その結果フセイン政権が崩壊した。現在米国は関係国とともにイラク復興に取り組んでおり、アフガニスタンの復興、北朝鮮やイランの核問題をはじめとする国際社会が直面する諸課題にも関係国と協調しつつ取り組んでいる。国内的には減税等を通じた経済回復基調の維持に努めるとともに、メディケア(高齢者医療保険)改革等で社会的弱者対策等にも取り組み、国土安全保障にも引き続き力を入れた。また、2004年の大統領選挙に向けた活動も共和・民主両党において本格化している。
 2003年はペリー提督来航150周年、2004年は日米和親条約調印150周年である。150年の歴史を経て、日米両国は、アジア太平洋地域における最も強固な同盟関係を形成・維持するに至っている。基本的価値と利益を共有する同盟国である米国との連携は、日本外交の基軸であるが、それは、日本及びアジア太平洋地域の平和及び安定並びに繁栄の実現にとって日米安全保障体制や日米経済関係の緊密化が不可欠であるのみならず、国際社会の諸課題に日米両国が協力してリーダーシップを発揮していくことが日本の国益にとって極めて重要であるとの認識に基づいている。こうした認識の下で、日米の連携をより一層強化していく必要がある。

 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む