第3節
北朝鮮をめぐる問題
1 北朝鮮に対する日本の基本的考え方
日朝平壌宣言に基づき、拉致問題、核やミサイル等の安全保障上の問題を解決し、北東アジア地域の平和と安定に資する形で日朝国交正常化を実施するという日本の基本方針は一貫している。これらの問題の解決に向けた取組として、日本は、「対話と圧力」を基本としている。
「対話」については、様々なルートを通じてその実現に向けて働きかけを行ってきた。その結果、2004年2月には田中外務審議官、藪中アジア大洋州局長の北朝鮮訪問による日朝政府当局間協議が実現したほか、2度にわたる六者会合(8月/2月)の際にも日朝間の協議が実現した。
その一方で、国際社会と一致協力して、北朝鮮による違法行為の厳格な取締りを行うなど「圧力」も行使することで、北朝鮮に対し、国際社会の一員としての責任ある態度を促してきた。例えば、新潟港に寄港した万景峰号に対し、船の安全性の検査、通関検査等を関連法規に基づき厳格に行うなど、北朝鮮の船舶等に対し現行法規の下で可能な検査等を厳格化したほか、輸出管理の面においても、2002年4月に導入した、大量破壊兵器及びその運搬手段の開発に用いられる懸念がある物資の輸出を規制するための「キャッチオール規制」の運用を2003年4月に改正し、その規制強化に取り組んだ。さらに、北朝鮮の関与が懸念されている偽造紙幣や麻薬の国内流入を防ぐための取組を強化してきている。
また、国連の決議等の国際的な協調を前提とせずに日本政府が独自の判断で送金停止等の措置を講ずることが出来るよう、外国為替・外国貿易法(外為法)を改正する方向で与野党間の議論が進展し、2004年2月には議員立法の形で改正された。