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国際法あれこれ


●国際慣習法

 法というと、通常は文書になっているものを連想しがちですが、国際法では、「国際慣習法」という文書化されていない法が重要な地位を占めています。国際社会においては、国内の議会のような立法機関はなく、国際法の拘束力は国家間の合意によりますが、一定の行為について、国際的な慣行(一般慣行)が多数の国によって法的に義務的又は正当なものとして認められる(法的確信)ときには、国際慣習法が成立し、国際社会のすべての国家を拘束します。

●国交

 「日本は、北朝鮮とは『国交』がない」などと言うことがありますが、「国交」という用語は国際法上確立しているわけではありません。「国交」という言葉が使われる際、一般的には、二国間の外交関係(国家を正式に代表する政府間の公式な関係)を指す場合が多いようです。2003年1月現在、日本以外の国連加盟国190か国の中で、日本が外交関係をもつ国は、北朝鮮とモナコを除く188か国となっています。また、ある主体を国家として認める「国家承認」という行為があります。これは外交関係の開設とは別の行為です。国家以外の主体と外交関係を結ぶことはできないので、外交関係を開設する際には、その前又はそれと同時に相手を国家として承認することになります。ちなみに日本は、北朝鮮を国家承認していません。

●公館の不可侵

 「在外公館には治外法権があるか」と言われることがありますが、「治外法権」は、外交使節が常駐する場所は本国の領土の一種の延長として受入国の領域の範囲外であるという、古い考え方に基づく概念です。今日では、在外公館といえども受入国の領域主権が及んでいるのでいわゆる治外法権は認められていません。在外公館には「外交関係に関するウィーン条約」等の国際法によって「公館の不可侵」が認められていますので、受入国による警察権の行使などの執行管轄権が排されている、というのが正しい理解です。



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